『 抗ヒスタミン薬 ・免疫抑制薬の塗り薬の効果は?』子ども(小児)の処方箋:湿疹、かぶれなど【医師監修】
抗ヒスタミン薬・免疫抑制薬の塗り薬ってどんな薬? 【監修】松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応に関わる体内物質・ヒスタミンがその「鍵穴」に結合しないようにブロックし、くしゃみ、鼻水、皮膚の赤み、かゆみなどの症状を抑える効果がある薬です。
「アレルギー反応について」や「抗ヒスタミン剤・抗アレルギー薬の飲み薬・錠剤など」は下記の記事にて詳しくご紹介しています。
抗ヒスタミン薬の塗り薬となると、アレルギー反応が生じている皮膚にダイレクトに有効成分を吸収させるのがコンセプトです。
湿疹(しっしん)、かぶれ、虫刺されなどによる「かゆみ」に使われます。
一般用医薬品として販売されているかゆみ止めの塗り薬にも抗ヒスタミン薬が含まれています。
一方、免疫抑制薬の塗り薬はアトピー性皮膚炎専用です。
一般的に、アトピー性皮膚炎による皮膚の赤みやぶつぶつ、かゆみに対しては、抗炎症作用があるステロイドの塗り薬が処方されます。
ただ、塗った人すべてにではないものの、副作用が現れる恐れがあります。
代表的なのは、同じ箇所に長期間続けて使用すると皮膚が薄くなったり、萎縮したりすることです。
ステロイドを含まずに炎症を抑える薬として、「非ステロイド系消炎塗り薬」もありますが、効き目は穏やかな一方、副作用が見過ごせない点が課題でした。
そこで、新たな治療のツールとして登場したのが、免疫抑制薬の塗り薬です。
体が外敵と戦う免疫反応を抑えることで、皮膚の炎症も抑えます。
先ほど紹介したステロイドのような副作用は報告されていませんが、免疫抑制薬では皮膚の感染症にかかりやすくなることなどが報告されています。
病院では、それぞれの塗り薬の特徴を踏まえて、子どもの年齢、病気や部位、症状の程度などに応じて最適な薬を処方してくれるでしょう。
💡外用薬や保湿薬の塗り方のコツ*
・入浴後の皮膚が湿っている時間に塗ると良い
・薄く伸ばしたり、すり込まないで、たっぷりと皮膚に乗せるようにして塗る
・塗る人は手をきれいに洗う
・頭皮にローションタイプの薬や保湿剤を使う場合は、髪の毛を分けて地肌につけて塗る
・皮膚の症状によって塗り方や塗る量は異なるため、薬を貰うときに医師・薬剤師に確認しましょう
この記事では、子どもに使われる抗ヒスタミン薬・免疫抑制薬の塗り薬を紹介します(2022年3月時点)。
薬を使い始めて何か気がかりなことがあれば、医師・薬剤師に相談しましょう。
主な抗ヒスタミン薬の塗り薬の種類
レスタミンコーワ(ジフェンヒドラミン)
<薬の形状>
クリーム
<特徴>
抗ヒスタミン作用により、皮膚の赤み、かゆみなどの症状を和らげます。
湿疹、虫さされなどに使われます。
<注意>
主な副作用として、皮膚の赤み、腫れ、かゆみ、湿潤などが報告されています1) 。
このような症状があれば、医師・薬剤師に相談しましょう。
ベナパスタ(ジフェンヒドラミンラウリル硫酸塩)
<薬の形状>
軟膏
<特徴>
抗ヒスタミン作用により、皮膚の赤み、かゆみなどの症状を和らげます。
湿疹、虫さされなどに使われます。
<注意>
主な副作用として、しゃく熱感、皮膚の赤み、腫れ、かゆみ、湿潤などが報告されています1) 。
このような症状があれば、医師・薬剤師に相談しましょう。
主な免疫抑制薬の塗り薬の種類
プロトピック(タクロリムス水和物)
<薬の形状>
小児用軟膏(0.03%)、軟膏(0.1%)
<特徴>
免疫に関わる体内の情報伝達物質の産生やアレルギー反応を抑え、炎症を抑えます。
アトピー性皮膚炎(2歳以上)に用いられます。
<注意>
塗る前によく手を洗い、塗り終わったらその指をきれいに洗います1) 。
皮膚がジュクジュクしている部分、ただれている部分、おできやにきび、皮膚以外の部分(口や鼻の中の粘膜など)や外陰部には塗らないでください1) 。
この薬を塗った部分を日光に長時間さらさないように、衣服を工夫するなど注意します1) 。
コレクチム(デルゴシチニブ)
<薬の形状>
軟膏(0.25%)、軟膏(0.5%)
<特徴>
免疫・炎症反応に関わる「ヤヌスキナーゼ」という酵素の働きを阻害して、炎症を抑えます。
子どもには有効成分の濃度が0.25%の軟膏が主に使われますが、症状に応じて0.5%も使われます。
アトピー性皮膚炎の寛解後の維持療法にも使われます。
<注意>
皮膚が細菌などに感染している部位、粘膜や皮膚が損傷した部位、ただれた部位などには塗らないようにします1) 。
《 監修 》
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松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。
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