『 抗真菌薬 の塗り薬』子ども(小児)の処方箋:カンジダ、白癬などに処方される薬【医師監修】

2022.07.28

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抗真菌薬の塗り薬ってどんな薬? 【監修】松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

真菌とはカビのことで、極めて多くの種類が存在しています。
正常な消化管・粘膜・皮膚でも常在しているカビがいて、カンジダと呼ばれる種類のカビがその一例です。
普段は仲良く共存しているわけですが、何らかの原因があるとカビが異常に増え、感染症が引き起こされます。
「何らかの原因」とは、カビにとって居心地が良いことや、人間の防御能が弱まっていることです。
 

例えば、おむつの中は尿や汗などで温度・湿度が高くなりやすいのはイメージできると思います。
もともと皮膚にいるカビにとって、高温多湿な状態は居心地がよく、どんどん増殖しようとします。
体はカビの増殖を抑えようと戦い、そのため皮膚に赤みやただれなどが現れます。
これが皮膚真菌症(ひふしんきんしょう)と呼ばれる病気です。
子どもは、おむつを着けている部分に起こりやすい症状になります。

 


【原因となるカビは?】

原因となるカビは、カンジダ、白癬菌(はくせんきん)、癜風菌(でんぷうきん)などです。
白癬菌が足の指などで増えた場合は水虫になります。

 


【どんな薬が処方される?】

皮膚真菌症の治療に使われるのが抗真菌薬の塗り薬(外用抗真菌薬)です。
カビの細胞膜がつくられないようにして、増殖を抑えます。

細菌に対する抗菌薬(📖抗菌薬入り塗り薬の記事はこちらから)と同じように、薬の構造によって○○系、○○系と分けられています。
クリームや液剤などの形状があり、薬によって違いますが1日1回あるいは2~3回、患部に塗ります。

真菌感染によりびらん、亀裂、二次感染(じくじくしている状態)などがある場合は、まず抗生物質軟膏や亜鉛華軟膏により皮膚の状態を改善した上で使用するほうがよいこともあります。

病院にかかり薬が処方された場合は、症状がよくなっても、自己判断で薬を塗るのをやめないようにしましょう。
 
一方で、薬が合わず、刺激感やかぶれなどが現れることもあります。
薬を使い始めて何か気がかりなことがあれば、医師、薬剤師に相談しましょう。

抗真菌薬の塗り薬は十数種類ありますが、この記事では、子どもに使われている主な薬を紹介します(2022年4月時点)。

抗真菌薬の塗り薬が処方される病気

カンジダ症、白癬、📖脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)

など

主な抗真菌薬:イミダゾール系

ニゾラール(ケトコナゾール)

<薬の形状>
クリーム、ローション、外用ポンプスプレー(後発品)
<特徴>
カビの増殖を抑えます。
カンジダ症、白癬、癜風(1日1回塗布)だけでなく、脂漏性皮膚炎への使用(1日2回塗布)も認められています1)
<注意>
副作用として接触皮膚炎(かぶれ)、かゆみ、発赤、刺激感、紅斑などが報告されています1)
このような症状に気づいたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

 

ルリコン(ルリコナゾール)

<薬の形状>
クリーム、軟膏、液
<特徴>
カビの増殖を抑えます。
カンジダ症、白癬などの治療に1日1回塗布します。

<注意>
副作用として、かゆみ、発赤、刺激感、接触皮膚炎、疼痛、湿疹などが報告されています1)
このような症状に気づいたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

 

エンペシド(クロトリマゾール)

<薬の形状>
クリーム、外用液、ゲル(後発品)
<特徴>
この系統の中でいち早く実用化された薬で2) 、カンジダ症、白癬などの治療に今も使われています。
1日2~3回塗布します。
<注意>
副作用として、刺激感、皮膚炎、発赤、紅斑、皮膚のただれなどが報告されています1)
このような症状に気づいたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

主な抗真菌薬:アリルアミン系

ラミシール(テルビナフィン塩酸塩)

<薬の形状>
クリーム、液、外用スプレー
<特徴>
他の抗真菌薬とは系統が異なる薬です。
カンジダ症、白癬などの治療に1日1回塗布します。
<注意>
副作用として、皮膚のかぶれ、かゆみ、発赤、紅斑、刺激感などが報告されています1)
このような症状に気づいたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

『参考資料』

1)くすりの適正使用協議会.くすりのしおり.(2022年4月閲覧:https://www.rad-ar.or.jp/siori/index.html
2)エンペシドクリーム・外用液:インタビューフォーム

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。

    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。

    小児科専門医、小児神経専門医。

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