2022.06.27
ステロイド入り塗り薬(ステロイド外用剤)は、アトピー性皮膚炎、湿疹(しっしん)やかぶれなどに塗って治す薬です。
炎症やアレルギー反応を抑えるステロイドという成分が、赤み、ブツブツ、かゆみといった症状を和らげます。
ステロイドの成分の種類としては20以上あり、炎症を抑える作用の強さによって5段階のグループに分かれています1) 。
強い方から順に「ストロンゲスト(最強)」「ベリーストロング(かなり強い)」「ストロング(強い)」「ミディアム(中等度、マイルドともいう)」「ウィーク(弱い)」と、そのままの名がついています。
薬の形状は軟膏(なんこう)、クリーム、ローションなどがあります。
軟膏は油分がベースなので塗り心地はベタっとしていますが、皮膚への刺激が少ないことから、よく使われています。
子どもには、作用が中等度の「ミディアム(マイルド)」の軟膏が使われることが多いです。
しかしながら重症のアトピー症状(腫れた部分が赤みを帯びて盛り上がる、粉ふき、皮の剥け落ちなどが強くみられる、浮腫み、丘疹(皮膚の隆起)、水疱、びらん、ひっかき傷など多い、など)が出ている場合は、まず強いステロイドを使って痒みや炎症を抑えてから中等度のステロイドにしていくほうが効果的なことが多いです。
夜間のかゆみによる睡眠不足や、ひっかき傷からの感染症などを防ぐためにもこのような薬の選択をすることがあります。
炎症を抑える作用が強ければ、副作用が現れる可能性が高くなるとされています。
塗る場所によっても副作用の現れやすさが異なるため、顔、頭、膝の裏側、背中、手などの部位ごとに、それぞれの部位に合った強さの薬が処方されることもあります。
代表的な副作用として、長期間続けて使用することで皮膚が薄くなったり、萎縮したりすることがあります。
ただし、すべてのひとに副作用が現れるわけではありませんし、医師の指示通り、必要な場所に正しく塗っていれば、副作用が現れるのを未然に防いだり、最小限に抑えることができます。
もし副作用が現れたとしても、ほとんどは塗るのをやめるか適切な処置によって回復します1) 。
この記事では、主なステロイド入り塗り薬を紹介します(2022年時点)。
薬を使い始めて何か気がかりなことがあれば、医師、薬剤師に相談しましょう。
アトピー性皮膚炎、かぶれ、📖乳児湿疹、脂漏性湿疹
など
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。