『 ペットアレルギー 』とは?ペット飼育と赤ちゃん【アレルギー専門医監修付き】

2022.11.08

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ペットアレルギー

ペット飼育と子どもの アレルギー 【監修】小島 令嗣(こじま れいじ) アレルギー専門医 

子どもがいるご家庭では、ペットを飼いたいと考えていても、アレルギーが心配だったりしますよね。
ペット飼育とアレルギーについて調べてみると、「ペットを飼っているとアレルギーになりにくい」や「ペットはアレルギーに良くない」など、一見矛盾する情報があって混乱することがあるかもしれません。
今回はペット飼育とアレルギーについて、学術論文や日本のガイドラインを基に解説します。

今回話をする「ペット」「アレルギー」とは?

ペットとアレルギーの話をする前に、これからお話する「ペット」と「アレルギー」を定義しておきましょう。

まず、「ペット」については、主に毛のある動物として、今回は家庭で多く飼育されているイヌやネコとして述べます。

次に「アレルギー」については、
1つは「ペットアレルギー」、つまりイヌやネコの毛などに含まれるアレルゲンに対するアレルギー。
もう1つは「アレルギー疾患としてくくられる病気」である気管支喘息・アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・アレルギー性鼻炎などの場合としてお話をします。

また、アレルギーの「発症」と「悪化」を区別して考える必要があります。
つまりペット飼育をすることで、「アレルギーの発症が多くなるのか、少なくなるのか」と「アレルギーが既に発症している場合に症状が悪化するのかしないのか」ということです。
この2点についてもそれぞれお話しします。

ペットアレルギーとは?

イヌはCan f 1、ネコはFel d 1というそれぞれの動物の皮脂腺から分泌されるタンパク質がペットアレルギーの主要なアレルゲンです。

ペットアレルギーの症状は、くしゃみ・鼻水などの鼻症状、目のかゆみ・充血などの眼症状、咳などの呼吸器症状、皮膚のかゆみ・発赤などの皮膚症状であり、ちょうど花粉症と同じような症状が出ます。

診断方法は、問診と血液検査などです。
イヌやネコに接触して症状が出ることが繰り返しあること、イヌやネコに対するアレルギー検査の陽性(血中特異的IgE抗体検査や皮膚検査)が決め手となります。
症状に対する治療は、アレルギー性鼻炎など他のアレルギー疾患に準じた薬剤が使用されます。

またアレルゲンを避けることが有効とされ、ペットアレルギーが発症した場合はペットを「手放す」という指導がされます。
スギ花粉症などで現在治療として行われている免疫療法(アレルゲンを含む治療薬を投与し、体を徐々に慣らして症状を和らげる治療法)は、ペットのアレルゲンでも試みられていますが、研究段階です。

ペット飼育によりアレルギーの発症を予防できるか?

1999年に乳児期にイヌやネコの飼育をしていると、学童期のアレルギー性鼻炎・気管支喘息の発症を少なくするという報告が、スウェーデンの研究グループから発表されました。その後、欧米を中心に気管支喘息・アトピー性皮膚炎・食物アレルギーでも同様の報告がみられました。
メカニズムとしては、ペット飼育により子どもの腸内細菌叢が変化し、アレルギー性疾患の予防につながると説明されていますが、十分には明らかになっていません。
一方ペット飼育がアレルギー性疾患の予防にはならないという報告もあり、専門家の間でも見解は一致していません。

ペット飼育環境は日本と海外では同じでない場合もあり、ペット飼育はアレルギー性疾患の予防になるという海外の研究報告をそのまま取り入れることは慎重にすべきです。ペット飼育がアレルギー性疾患の予防になるかについては、日本からの研究報告は少なく、現時点では日本のガイドラインにおいて、アレルギー性疾患(気管支喘息・ アトピー性皮膚炎・食物アレルギー)の発症予防としてのペット飼育は、推奨される段階にはありません。

ペット飼育によりアレルギーの症状は悪化するのか

ペットアレルギーを発症した場合や、気管支喘息・アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を発症した場合は、室内でペットを飼うことはアレルギーの悪化の因子になるため、避けた方が良いということになります。

気管支喘息とアトピー性皮膚炎の日本のガイドラインにおいても、室内環境整備の一環としてペット飼育は避けることが奨められています。

 

特にイヌとネコにアレルギーが出てしまった場合は、その対処として「手放す」ことが専門家の間ではコンセンサスとなっています。

もちろんペットを手放すことが難しいこともあるので、ペットを寝室に入れないなど居住空間を分けることやペットを週1、2回洗うことなども提案されています。

まとめ

ペットは「家族の一員」として生活に潤いや安らぎを与えますが、飼育には責任が伴います。
子どもが乳児期である時のペット飼育は、アレルギー性疾患発症の予防になるという報告が欧米からされていますが、予防にならないという報告もあり、専門家の間でも見解が一致していません。

少なくとも日本のガイドラインでは推奨される段階にはありません。
ペットアレルギー・気管支喘息・アトピー性皮膚炎のようなアレルギーが発症した場合は、ペット飼育は症状悪化因子として「避けた方が良い」とされます。
これからペットの飼育を決断する際には、責任と覚悟が必要です。

 

 

『参考資料』
・一般社団法人日本小児アレルギー学会:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020. 協和企画, 2020.
・一般社団法人日本小児アレルギー学会:食物アレルギー診療ガイドライン2021. 協和企画, 2021.
・日本アレルギー学会・日本皮膚科学会: アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021. アレルギー2021;70:1257-1342
・Davila I, et al. Consensus document on dog and cat allergy. Allergy 2018;73:1206–1222.

 

《 監修 》

  • 小島 令嗣(こじま れいじ) アレルギー専門医 

    防衛医科大学校卒業。
    山梨大学 社会医学講座
    アレルギー専門医 
    専門分野:小児科学、アレルギー学、疫学・公衆衛生、母子保健

  • 濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師

    大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
    星薬科大学非常勤講師。助産師(アドバンス)・保健師。
    産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
    はぐふるアンバサダー。
     
    妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
    また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
     
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