【医師監修】子どもの『 帯状疱疹 』はどんな症状?人にうつる?治療方法は?

2023.10.27

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【監修】神奈川県立こども医療センター:総合診療科 松井 潔先生

目次

1.  帯状疱疹 とはこんな病気

2.  帯状疱疹 の原因と症状

3.  帯状疱疹 の検査でわかること

4.  帯状疱疹 の治療法と薬

5.  帯状疱疹 のホームケアと予防

1.  帯状疱疹 とはこんな病気

帯状疱疹(たいじょうほうしん)の年齢層:0歳~
症状:皮膚の赤み、水ぶくれ、痛み
体の部位:全身

 

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそう(水痘:すいとう)と同じ、水痘・帯状疱疹ウイルス( VZV:varicella zoster virus )が再び活動を始めたために生じる病気です。

水ぼうそうにかかったことがある人は誰でも発症する可能性があります。
 
皮膚が赤くなり、小さな水ぶくれが帯状に現れます。
その部分に数日~1週間くらい前からチクチク、ピリピリとした痛み、感覚の異常を感じるのが特徴です1)
 
帯状疱疹は、50歳を境に発症率が高まりますが、それより頻度は低いものの、0~9歳の子どもにも発症するというデータがあります2)

2.  帯状疱疹 の原因と症状

帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活動を始めることが原因になります。

 
水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染した時は水ぼうそう(水ぼうそうの記事はこちらをチェック📖)になりますが、治った後もウイルスは体内(脊髄の神経節)に潜伏します。
「おとなしくしておいて、ヒトの細胞(部屋)に住まわせてもらう」イメージです。

そうした中で、「部屋の持ち主」である人間の免疫力が下がると(過労、ストレス、加齢など)、ウイルスは再び活動を開始して増殖します。
そのため、ウイルスが増殖した神経や皮膚に炎症が生じます。
 
帯状疱疹は皮膚の炎症によって、赤み、水ぶくれ、ただれ、チクチク・ピリピリとした痛みが現れます。
後に、2週間くらいで「かさぶた」になり、発症から約3週間で治まります1)
 
症状が現れるのは胸、脇腹、背中が多いのですが4)、顔や腰にできることもあります3)
神経に沿って、体の左右どちらかにできるのが特徴です。

発熱がないことが多く、大人に比べ子どもはあまり痛がりません3)
人によっては頭痛を伴うこともあります。
 

💡ポイント💡
・水痘、帯状疱疹ウイルス初感染では「水ぼうそう」になる。
・その後免疫などが弱り、ウイルスが増殖すると帯状疱疹を発症する。
・身体の左右どちらかに症状が現れる。

3.  帯状疱疹 の検査でわかること

通常、皮膚の状態や症状をもとに診断します。

 

他の病気と鑑別が必要な時は、「水ぶくれの内容物」「ただれた皮膚をぬぐった液」などを検査し、ウイルスの抗原(目印)や、ウイルスに感染した細胞があるかを調べることもあります。

4.  帯状疱疹 の治療法と薬

治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が基本となります。

 

抗ウイルス薬には、飲み薬や注射薬、塗り薬があり、症状や年齢などに応じて使い分けられています。
いずれも、症状が現れてからできるだけ早く治療を始めるのがポイントです。
痛みに対して、痛み止めの飲み薬が使われることもあります。

 

【予備知識】特に50歳以上で帯状疱疹を発症した人においてですが、皮膚症状が治っても痛みが残ることがあります5)
こうした後遺症を防ぐためにも、帯状疱疹の治療を早めに始めること、急性期の段階から痛みを十分に抑えておくことが大切です。

5.  帯状疱疹 のホームケアと予防

帯状疱疹を発症したら、十分な睡眠、休養、栄養を取り、安静にしておきましょう。

 

水ぶくれは破らないようにします。
帯状疱疹を発症している人との接触で、水ぼうそうにかかったことがない人はうつる可能性があります

家での感染対策としては、病変部位が限定されているときはガーゼなどで患部を覆う、部位が広範囲であったり口腔内に症状があるときは空気感染対策(マスクをする・換気を行う)をするようにしましょう6)

移植やガンの治療中で免疫抑制剤を使用している患者さんなど、免疫力が低下している人との接触をしないようにします。

◎保育園や幼稚園に登園はできる?お風呂に入浴はできる?

入浴は普段通りで問題ありません。
また、発疹がすべてかさぶたになれば幼稚園・保育所に登園できます3)

水ぼうそうにかかったことがある人は誰でも帯状疱疹にかかる可能性がありますが、水ぼうそうのワクチンが定期接種になったことで、水ぼうそうにかかる子どもの数は大きく減っています(📖水ぼうそうの記事)。

水ぼうそうのワクチンが帯状疱疹の予防にもつながると考えられます。

『参考文献』

1) 日本皮膚科学会ウェブサイト.
(2023年5月閲覧:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa5/q13.html)
2) Shiraki K, et al. Open Forum Infect Dis 4(1):ofx007,2017
3) 日本外来小児科学会(編著).:みずぼうそう(水痘). 子どもの病気ホームケアガイド 第5版. 医歯薬出版. p30, 2020.
4) 石川博康ほか.:日皮会誌 113:1229-1239,2003
5) Takao Y, et al. J Epidemiol 25:617-625, 2015
6) 金子堅一郎(編).:4. 水痘・帯状疱疹. 子どもの病気とその診かた第1版. 南山堂. pp226-229, 2015.

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。
     
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