2022.10.13
1. 水ぼうそう(水痘)とはこんな病気
2. 水ぼうそう(水痘)の原因と症状
3. 水ぼうそう(水痘)の検査でわかること
4. 水ぼうそう(水痘)の治療法と薬
5. 水ぼうそう(水痘)のホームケアと予防
水ぼうそうは、水痘(すいとう)ともいい、全身に水ぶくれ(水泡:すいほう)ができる伝染性のウイルス感染の病気です。
38度前後の熱がでることも多く、水ぶくれは、手足や体幹だけでなく、頭や陰部にも出て、かゆみを伴うことが多いです1,2) 。
罹患年齢はほとんどが9歳以下3) で、生後6カ月から5歳までにかかることが多く、症状は重くなく、自然に治ることも少なくありません2) 。
ただし、新生児・成人・妊婦・病気や薬の影響で免疫力が低下している人が水ぼうそうにかかると、重症化することがあります4)。
水ぼうそう(水痘)のワクチンが定期接種になる以前は、冬から春にかけて流行していましたが、2014年以降の定期接種の効果で患者数は減少し、流行パターンは不明瞭になりました4) 。
水ぼうそうは、一度かかるとその後一生かかることはないのですが、治った後もウイルスが体の中に潜んでいて、体調不良などをきっかけに再び出てくることがあります。
この病気を帯状疱疹(たいじょうほうしん)といい、小さな水ぶくれが主に背中や胸の神経に沿って、帯状に出てきます。
成人は痛みが強いのですが、子どもはあまり痛がりません2,5) 。
水ぼうそうは、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)の感染によって起こります2) 。
飛沫感染でなく空気感染もするため感染力が非常に強く、患者のせきやくしゃみ、水泡や粘膜の排出物に接触しても感染します 6) 。
病院で感染者がでると陰圧個室*で治療を行います。
水ぼうそうの潜伏期間は、10~20日間で、発症の2日前から水ぶくれがかさぶたになるまでの間、周囲の人に感染します7) 。
発疹がでる1~2日前から、ワクチン以外の予防でウイルスを排出するのは困難とされています。
特徴的な症状は、水ぶくれと38度前後の発熱です。
発症すると、全身に赤い虫刺されのような痕(紅斑:こうはん)ができ、続いて盛り上がった赤い発疹(丘疹:きゅうしん)→水ぶくれ→かさぶた(痂疲:かひ)に変化して治ります。
数日にわたり新しい発疹が次々と出てくるため、様々な段階の発疹が混在します。
すべての発疹がかさぶたになるまで発症から6日間程度かかります8) 。
初期に水ぶくれが頭皮にみられるのは、水ぼうそうに特有の症状です7) 。
まれに肺炎になることもあります。3,4)
かゆみのために水ぶくれをかきむしると、皮膚に痕が残ったり、溶連菌などによる細菌感染を起こしたりすることがあります2) 。
💡水ぼうそう(水痘)のポイントまとめ💡 |
・潜伏期間は10~20日 |
・38度前後の発熱 |
・全身に赤い虫刺されのような痕(紅斑:こうはん)→盛り上がった赤い発疹(丘疹:きゅうしん)→水ぶくれ→かさぶた(痂疲:かひ)に変化して治る |
・すべての発疹がかさぶたになるまで6日程度かかる |
・発疹はかゆみを伴うことが多い |
・一度かかるとその後かかることはない |
通常は、医師が診察や問診によって診断しますが、血液を採取して水痘帯状疱疹ウイルスに対する抗体検査の確認により診断が確定します。
法律上は、五類感染症に指定されています。
水ぼうそうは、自然に治ることが多い病気ですが、感染力が強く、体の状態によっては重症化することがあります。
重症化しやすいなどの恐れがある場合、発症の早い時期(2~3日以内)であれば、抗ウイルス薬であるアシクロビルやバラシクロビルの服用により発熱期間、発疹数、かゆみを改善できます2) 。
発疹には、かゆみを抑え炎症を鎮める石炭酸亜鉛華リニメントやカラミンローションといった塗り薬が処方されることがあります。
かゆみには、抗ヒスタミン薬が使われることがあります2) 。
帯状疱疹に対してもアシクロビルなどの抗ウイルス薬を服用します。
予防には、水痘ワクチンが有効です。
実際、2014年10月に水痘ワクチンの定期接種が開始され、翌年の2015年以降は水ぼうそうが激減しています4) 。
ですから、対象期間(1歳~3歳未満、2回接種)に確実に接種を済ませることが大切です8) 。
また、水ぼうそうの患者さんと身近に接した場合、接してから3日以内にワクチンを接種すれば、発症を予防したり発症しても症状を軽く済ませたりできるといわれています2) 。
家庭で以下のような対応をします2,5) 。
以下のようなときは、もう一度診察を受けましょう2) 。
水ぼうそうは感染力が強く、学校保健安全法により第2種感染症に定められおり、すべての発疹がかさぶたになるまで、「出席停止」とされています。(医師が感染の恐れがないと判断した場合は登園・登校できます)
発疹・水ぶくれがすべてかさぶたになったタイミングで、近くの医療機関を受診し、登園・登校しても問題ないかを確認しましょう。
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。
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