子どもの『 鼻血 (はなぢ)』どうやって起こる?原因や対処法【医師監修】

2024.02.06

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【監修】神奈川県立こども医療センター:総合診療科 松井 潔先生

目次

1.  鼻血 とはこんな病気

2‐1.  鼻血 の原因と症状

2‐2.  鼻血の原因まとめ🖊

3.  鼻血 の検査でわかること

4.  鼻血 の治療法と薬

5.  鼻血 のホームケアと予防

1.  鼻血 とはこんな病気

年齢:0歳~
症状:出血
体の部位:鼻

 

鼻血は、鼻の中(鼻腔など)の粘膜や血管が傷つくことによって起こる出血です。

特にほとんどの出血は、「キーゼルバッハ部位」(図)の出血です。
鼻出血は通常、何の前ぶれもなく起こり、一方の鼻孔から、場合によっては両方の鼻孔から血液がゆっくりと流れ出ます。

乳児期にはまれですが、小児期にはよくみられます。
思春期後に減少し、50歳以降に再び増加します。
 
図1:キーゼルバッハ部位

 
鼻の入口から1㎝ほど奥に入った鼻中隔で 2) 、内頸動脈と外頸動脈の両方から毛細血管が集まり密集し、粘膜が薄いため、繰り返し出血しやすいとされます。

通常、鼻の穴から血が出てきて鼻血に気づきますが、のどの方に流れることもあります。
5歳までに約30%の子どもが鼻血を経験する反面、2歳以下で起こることは珍しいとされています 1)
 

子どもを安静にさせ、鼻を押さえる「圧迫止血」を行うと、5分くらいで血が止まることが多いようです 2)
ほとんどの鼻血は数分で自然に止まります。
鼻孔を圧迫し、血液が喉に逆流することを避けるために、子どもは直立姿勢で頭を前に傾け、できるだけ静かに保つ必要があります。
鼻に冷湿布などで冷やすのも効果的です。

 

💡止血まで長く感じる場合でも保護者は落ち着いて対処しましょう。
適切に圧迫をしても、15分以上出血が止まらなければ、早めに医療機関を受診しましょう 2)

2‐1.  鼻血 の原因と症状

鼻血の主な原因は、
① 鼻の内外からの衝撃による出血
② 風邪やアレルギー性鼻炎などの鼻疾患による出血
③ 暑さや興奮による出血
④ 背景に全身的な病気がある場合 
です 3) 。特に原因が見当たらないこともあります。

 

①鼻の内外からの衝撃による出血 .

転んだりぶつかったりしたときの衝撃や、鼻をほじったことで鼻の内部を傷つけてしまい鼻血が起こります。
アレルギー性鼻炎の場合、鼻の中がむずがゆく、指を入れて触りがちです。
すると、もともと薄く、血管が拡張している鼻の粘膜が傷つき、血が出ると考えられます。
とくに小さな子どもの場合、一度傷ができるとそこがかさぶたになり、つい引っかいてまた出血する、といったことをくり返すこともあります 3)
 

②風邪やアレルギー性鼻炎などの鼻疾患による出血 .

上気道炎・アレルギー性鼻炎などの鼻炎症状により鼻を強くかみ過ぎたことが原因となることも多いです 1)
副鼻腔炎による粘膜の炎症や、鼻中隔弯曲症なども鼻出血の原因になります4)。
 

③暑さや興奮による出血 .

暑い日やお風呂などで、のぼせて出血することもあります。

キーゼルバッハ部位の血管は非常に細いので、血の巡りがよくなっただけでも簡単に切れて出血してしまうことがあります 3)
 

④背景に全身的な病気がある場合 .

鼻も触らない、傷もない、鼻の中も腫れていないのに、頻繁に鼻血が出る場合は白血病や血友病など血液の病気の可能性があります。
これらの病気によって、出血を止める仕組みのどこかに異常が起きていると考えられます。 
📖関連記事:白血病

2‐2.  鼻血の原因まとめ🖊

1. 鼻ほじり:これがほとんどの原因
2. 空気の乾燥
3. 鼻炎
4. 慢性副鼻腔炎
5. 異物
6. 鼻腔内腫瘍またはポリープ
7. 刺激物(タバコの煙など)
8. 中隔逸脱 中隔穿孔
9. 児童虐待を含む外傷
10. 血管奇形または毛細血管拡張症
11. 血友病 血小板機能不全 血小板減少症
12. 高血圧 など

3.  鼻血 の検査でわかること

通常、鼻血そのものを検査するというよりは、鼻血の原因となっている病気を突き止めるための検査が行われます。

血液検査をして、出血を止める役割をする因子に異常がないかどうかを調べます。 

4.  鼻血 の治療法と薬

医療機関では、医師が鼻の中を観察し、どこで出血しているかを突き止めます。その上で、適切な位置を圧迫し、止血します。

 
それでも血が止まらない場合、硝酸銀(しょうさんぎん)という薬物の塗布や電気凝固、あるいは傷を覆う医療材料を使って圧迫します 1) 。 

5.  鼻血 のホームケアと予防

💡冬または乾燥した環境では、部屋の加湿器、生理食塩水の滴下、ワセリンを鼻中隔に塗布すると、鼻出血の予防に役立ちます。


お子さんが鼻血にビックリしている場合、保護者が慌てると、余計に子どもは心配になるかもしれません。
まず、保護者のほうが落ち着きましょう。
子どもを安静にさせるとともに、安心させましょう。
 

のどの方に流れる血液を減らすため、座って、少し下を向くような姿勢にします。寝かせる場合は、顔を横に向けます。
枕の位置を調整するなどして、頭を高くしてもよいでしょう。
 
鼻を押さえる「圧迫止血」をします。
押さえるのは、キーゼルバッハ部位に相当する箇所です。
イメージとしては小鼻の部分です 2)
 
通常、5分くらいで血は止まります。
その後5~6時間は、鼻をかんだり、ほじったりするのを控えます2)。

15分程度押さえても血が止まらなければ、早めに医療機関を受診しましょう。
  
一方、頭や顔を怪我して鼻血が出た時、声をかけても反応が乏しい時、顔面蒼白または唇が紫色の時は、救急車を呼びます 2)
 
💡やってしまいがちなのが「ティッシュペーパーを丸めて鼻の穴に詰める」ことですが、できれば避けたいものです。
血が止まって取り出す時に紙で粘膜が傷つき、再び血が出てしまう恐れがあります。
詰めるとすればガーゼやコットンにし、それも奥まで詰めるのはやめます。
奥まで入れると取りにくくなり感染症を起こします。

鼻血を何度も繰り返す場合や、もともとアレルギー性鼻炎がある場合は、耳鼻咽喉科で治療を受けておくとよいでしょう。

『参考資料』

1) 藤井可絵.日鼻誌 61;198-200,2022
2) 小児救急看護認定看護師会.ホームケア指導.鼻出血.平成29年11月1日作成.
3) 学校保健ニュース 中学版 第1390 号(付録) . 2006 年7 月 5 日発行 .
(2023年11月閲覧:http://entkasai.la.coocan.jp/hana-shukketu.pdf
4)一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:鼻出血(2023年11月閲覧:https://www.jibika.or.jp/

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。

    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。

    小児科専門医、小児神経専門医。

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