2022.10.24
1. インフルエンザ とはこんな病気
2. インフルエンザ の原因と症状
3. インフルエンザ の検査でわかること
4. インフルエンザ の治療法と薬
5. インフルエンザ のホームケアと予防
子どもから高齢者まで幅広い年齢層で流行します。
一般的な風邪と比較して、全身症状が強いのが特徴で、
38℃以上の発熱や頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛といった症状が現れます。
普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁(鼻水)、せき等の症状もみられます1,2) 。
通常、1週間ほどで自然によくなりますが、抗インフルエンザウイルス薬を使用すると回復が約1日早いとされています1,2)。
日本では例年、11月から翌年3月(冬季)にかけて流行がみられるため、季節性インフルエンザとも呼ばれています。
ただ、2020年、21年と2シーズン連続で流行がなかったため、22年秋からのシーズンは流行が警戒されています3,4) 。
インフルエンザウイルスのうち、大きな流行の原因となるのはA型とB型です。
飛沫やそれに触れた手指などを介して鼻やのどの粘膜に入り込み、感染します。
そこから約1~3日の潜伏期間を経て、急な発熱(38℃以上)、のどの痛み、せき、鼻水、悪寒、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状が現れます1,2) 。
ただし、5歳未満の子ども、高齢者、基礎疾患のある人などは、重症化や合併症の恐れがあり、中には重症化により入院治療を必要とされる方などもいます。
子どもの主な合併症は気管支炎、肺炎、中耳炎、熱性けいれんなどです。1,2)
まれですが、ウイルスに対する体の免疫反応の影響などで脳が障害を受けて生じる「インフルエンザ脳症」もあります。
インフルエンザ脳症の初期には、意識障害、けいれん、異常行動が現れます。1,4)
よく行われるのは、「迅速抗原検査」と呼ばれる検査です。
患者さんの鼻やのどの奥を綿棒でぬぐった液体などを検体として、そこにウイルスのタンパクが含まれるかどうかを調べます。
通常、結果は約10~15分でわかり、ウイルスがA型なのかB型なのかもわかります2) 。
地域で流行している時期や症状、経過によっては、検査を行わないこともあります。
インフルエンザウイルスは、ヒトの細胞に侵入し、その内部で自分のコピーを次々に作ります。
このコピーがまた他の細胞に侵入してコピーを作り、ウイルスが増殖するのです。
この流れをどこかでブロックして、ウイルスの増殖を抑えるのが、医師が処方する抗インフルエンザウイルス薬です。
現在5種類が使われ、飲み薬、吸入薬、注射薬があります。
小さな子どもにはドライシロップタイプの飲み薬(オセルタミビルという有効成分)がよく処方されます3~6) 。
その他に、発熱や頭痛などを和らげる薬が処方されることもあります。
予防にはワクチンが重要です。
生後6カ月以上13歳未満の子どもには2~4週間隔で2回接種することが推奨されています3~7) 。
ワクチンにはインフルエンザの発症予防効果と、発症しても重症化しないようにする効果が期待できます。
それに必要な「抗体」ができるまでに一定の期間が必要なので、本格的な流行が始まる前に接種を済ませておきたいものです。
普段の予防策としては、新型コロナウイルス対策と同じく、人込みを避け、マスクの着用や手洗い・手指消毒を行うことが挙げられます1,7)。
空気が乾燥すると気道の粘膜の防御機能が低下するため、
室内の適切な湿度(50~60%)を保つことも必要でしょう1,7)。
子どもがインフルエンザにかかったかも、と思ったら、早めに医療機関で診てもらいましょう。
インフルエンザと診断されたら、外出を控えて安静にさせ、お茶やスープなど子どもが飲めるもので水分を十分に補給します。
また、小児、未成年者では、インフルエンザにかかることで、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回るなどの行動を起こすことがあります。
発熱してから少なくとも2日間は子どもの異常行動に注意し、1人にさせないなどの配慮をします1,7)。
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。
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