2022.05.18
1. 熱性けいれんとはこんな病気
2. 熱性けいれんの原因と症状
3. 熱性けいれんの検査でわかること
4. 熱性けいれんの治療法と薬
5. 熱性けいれんの予防とホームケア
熱性けいれん(ねつせいけいれん)は、乳幼児期に発熱に伴って現れるけいれん(ひきつけ)発作です1)。
体を反らせるように突っ張ったり、手足をガクガクとふるわせたりする症状がみられます。
突然の発作で不安になりますが、発作の多くは5分以内に治まるので、落ち着いて対応しましょう。
命にかかわることは極めてまれですし、後遺症が残ることもほとんどありません2)。
主に生後6カ月~60カ月(満5歳)の子どもに発症し、6カ月未満での発症はまれです。日本人の7~11%がかかる、よくある疾患です2) 。
熱性けいれんは、熱が上昇するとき、発熱(通常は38度以上)に伴って起きやすいとされます1) 。
熱性けいれんの症状は、けいれんするだけではなく、体の力が抜ける、目の位置が正面以外に向いてしまうといったこともあります。
症状により「単純型熱性けいれん」と「複雑型熱性けいれん」に分けられます。
複雑型熱性けいれんは、「発作が15分以上続く」「体の片側だけ、または一部分がけいれんする」「最初の発作から24時間以内に再びけいれん発作がみられる」場合とされ、いずれにも該当しないものを単純型熱性けいれんと言います1)。
熱性けいれんの症状が30分以上持続する、または複数回の発作でその間に脳機能が回復しない場合は「熱性けいれん重積状態」で、一刻も早くけいれんを止める処置が必要です。
けいれんを起こす病気は他にもあるので、それらと区別する目的で検査が行われることがあります。
例えば、細菌感染による髄膜炎(ずいまくえん)という脳の感染症が疑わる時は血液検査、髄液検査、頭部CTまたはMRI検査が行われます。
▶髄膜炎についてはこちらから
血液中の成分に変化はないか、髄液の中に細菌が入っていないか、脳そのものに異常はないかなどを調べます。
脳の病気と区別するために脳波検査を行うこともあります。
通常は5分以内に自然に治まります2)。
けいれんが起こると、意識がなくなったり、呼吸が乱れて顔色が悪くなったりすることが多いので、保護者はとても心配になりますが、命にかかわることは極めてまれなので、落ち着いて対応しましょう2)。
例えば、次のようなことに気を付けて対応しましよう2,3) 。
病院では、発作が続いているか、発作が本当に止まっているか、意識はどうかなどが判断されます。
一度、熱性けいれんを起こした子どもには、次に発熱したときに神経細胞の興奮を抑える効果があるジアゼパム坐薬を使用して再発を防ぐことがあります。
1回の発作が長く続いたことがあるなど、一定の条件を満たす子どもが対象です1)。
ジアゼパム坐薬を使用したにもかかわらず、熱性けいれんが現れて15分以上続いた場合や、発作を繰り返す場合には、抗てんかん薬を継続して飲むこともあります。
▶抗てんかん薬についてはこちらから
なお、熱性けいれんの再発率は約15%です。
次の項目のどれかに当てはまると、再発率が2倍に高まります1) 。
当てはまる場合は、感染症にかかって高熱を出さないように、接種可能なワクチンは適切な時期に受けておくことを考えましょう。
ワクチンの副反応で発熱することもありますので、その時の対応を事前に医師と相談しておきましょう。
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。
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