妊婦健診 では何をするの?妊婦健診の内容と検査項目について【助産師監修】

2020.04.27

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妊婦健診では何をするのでしょうか

妊婦健診では妊婦の健康や胎児の発育をみるため、身体測定や血液・血圧・尿などの検査を行います。

妊娠の経過が正常かということを確認するのが妊婦健診の目的です。

もし、異常が出てきた場合には、早期発見の機会にもなります。

特に、貧血、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの病気は、胎児の発育に影響し、母体の健康を損なうことがあります。妊婦健診を受けることで、病気などに早く気づき、迅速に対応することが可能になります。

妊婦健診の頻度や内容は?

健診の頻度は妊娠週数によって変わります。異常がなくても妊婦健診を受け、妊娠経過をチェックしましょう。

・妊娠4カ月まで(~妊娠15週)― 1~2週間に1回
・妊娠5カ月~7カ月(妊娠16週~27週)― 4週間に1回
・妊娠8カ月~9カ月(妊娠28週~35週)― 2週間に1回
・妊娠10カ月以降(妊娠36週~)― 1週間に1回

 

妊娠が分かってから妊娠初期(妊娠4カ月)までは、胎盤が完成していないため流産の危険性が高いとされ不安定な時期です。

そのため妊婦健診は1~2週間に1回程度が望ましいとされています。もちろん、出血や腹痛などの症状があればその都度受診することになります。

 

一般的に安定期といわれる妊娠中期(妊娠5カ月~妊娠7カ月)は比較的状態が安定していることが多い期間です。そのため健診も4週間に1回程度の健診となります。

 

その後、妊娠後期(妊娠8カ月~9カ月)は2週間に1回、臨月は1週間に1回程度を目安に妊婦健診のスケジュールが奨励されています。そのため出産までに13~15回の健診を受けることが一般的です。

 

妊婦健診では妊娠週数によって検査内容が違うため一概には言えませんが、1回あたりの費用は5,000円~10,000円程度が一般的です。

妊娠は病気ではないため、健診費用に健康保険の適用はなされませんが、多くの自治体で14回程度の妊婦健診補助券が発行されています。(母子健康手帳と共に配布されます)補助券を使えば、実質実費がかからない回もあります。

 

 

妊婦健診で行う検査の内容項目

1.問診


前回受診からの変化を確認します。医師や助産師に状態を把握してもらうためにも、出血の有無やおなかの張りなどの健康状態を正直に答えましょう。日常で疑問に思ったことや、心配なことは書き留めておき、問診の際に相談をしてみましょう。

 

2.体重測定


適正に体重が増加しているのかを確認します。

 

3.尿検査


尿蛋白、尿糖の検査をし、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の兆候がないかを確認します。尿蛋白や尿糖は、反応が出ていなければ「-(マイナス)」、出ていれば「+(プラス)」、多く出ている場合は「++(プラスプラス)」と母子健康手帳に表記されます。一時的な陽性であれば問題ありませんが、何度か続く場合は注意が必要です。

 

4.血圧測定


妊娠高血圧症候群の兆候を確認します。妊娠中は血圧が上がりやすくなりますが、多くの人は最高血圧が140mmHg以下、最低血圧90mmHg以下程度に収まります。

 

5.腹囲・子宮底長測定


腹部にメジャーを当て、腹囲(おへそ周り)と子宮底長(恥骨の上から子宮の最も上の部分)までを測定し子宮が順調に大きくなっているかを確認します。胎児の発育や羊水の量の目安になります。

 

6.浮腫(むくみ)検査


足のすねや足の甲を押して、むくみの程度を確認します。むくみが続く場合は妊娠高血圧症候群に注意する必要があり、塩分を控えるなどの食事管理をします。

 

7.超音波検査


胎児の状態と位置(頭位・逆子)、羊水量、胎盤位置や心臓の動きなどの確認をします。妊娠中期ごろになると、超音波検査で性別が分かる場合があります。※病院によって行われる回数が異なります。

 

8.血液検査


血液型検査、貧血、血糖、感染症抗体の有無、B型C型肝炎、HIVなどの検査をします。

 

 

*妊娠後期になると、子宮の入口の状態を調べるために内診を行うことがあります。頻度は、状況によって異なります。※病院によって行われる回数が異なります。

必要に応じて行われるその他の検査

・子宮がん検査


子宮頚部の細胞を採取し検査します。妊娠初期に検査を行うため、その際に判明することもありますが、その進行程度や妊娠週数などにより対応は異なります。妊娠中は治療せずに経過観察をして出産後に治療をしたり、妊娠中に患部を切除したりすることもあります。

 

・膣分泌物検査(クラミジアの有無)


膣から分泌される成分(おりもの)を採取し検査をします。陽性の場合でもおりものの変化程度で、特に目立った自覚症状はありませんが、早産を引き起こす場合があります。胎児に産道感染する場合がありますので、検査によって感染が確認された際は治療を行います。

 

・経口ブドウ糖負荷試験(妊娠糖尿病検査)


血液検査で血糖値が高かった場合は、ブドウ糖負荷試験を行います。糖分の入った検査用の飲み物を飲んで血液を採取し血糖を検査します。妊娠糖尿病になると、胎児も高血糖になり、巨大児になる場合や、内臓の機能が未熟なまま産まれるリスクもあります。

 

・子宮頸管長測定(早産の早期発見に、子宮頸管をはかる)


子宮頸管の長さは経膣超音波検査で計測します。子宮頸管長が短い場合には、早産の注意が必要です。

 

・NST(ノンストレステスト:胎児の心拍をはかる)


ストレスのない状態(陣痛のない状態)でおなかに分娩監視装置を装着し、子宮の収縮の状態や、胎児の心拍を確認し、胎児が分娩に耐えることができるのか検査をします。

 

・骨盤X線検査


予定日近くに胎児が下がってこない時に行います。胎児の大きさが母体の骨盤を通過できるかを確認し、胎児の頭の方が大きい場合は、帝王切開での分娩になる場合があります。

妊婦健診で相談しよう(気を付けたい症状)

妊娠は生理的な身体の変化です。とはいえ、母体にはたくさんの負担がかかり、また妊娠に伴い発症する病気もあります。妊娠中は、ふだんより一層健康に気を付けなければなりません。ですから、妊婦健康診査を必ず受けましょう。

 

おなかが頻回に張ったり、出血があったり、胎動の感じ方がいつもと違うなど、気になることがあれば、健診時に相談しましょう。また、身体的なことだけでなく、出産や産後に関して不安に思っていることなども、気軽に相談しましょう。

 

病院によっては、ソーシャルワーカーなどもいて、福祉分野もサポートしてくれるところもあります。

妊婦健診をたんなる身体のチェックとしてだけでなく、医療者とのコミュニケーションの場としても活用しましょう。

《 監修 》

  • 濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師

    大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
    星薬科大学非常勤講師。助産師(アドバンス)・保健師。
    産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
    はぐふるアンバサダー。
     
    妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
    また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
     
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