つらい「 つわり 」症状ごとの対処方法はある?【助産師監修】

2020.04.01

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妊娠中-体のトラブル

つわり(妊娠悪阻)はなぜ起きるのか

つわり妊娠悪阻)とは、妊娠初期に起こる母体の全身の変化、とりわけ消化器症状による食欲低下、嘔吐、唾液分泌増加などを主症状とする生理的な消化器症状をいいます。大多数の妊婦が経験するものですが、このような症状が見られない人もいます。

 

症状が起こる原因としては、妊娠初期の急激なホルモン環境や代謝の変化といわれていますが、詳しいことはまだわかっていません。妊娠に関係するホルモンの血中濃度と、つわりの症状との関係を見てみると、妊娠すると急激に分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、妊娠4~5週から増え始め、8~12週でピークになった後、減少していきます。つわりの症状は、妊娠5~6週ごろにスタート、妊娠8~10週ごろにピーク、12週ごろから楽になり始めて16週ごろ(妊娠5カ月の初め)までには自然に症状がなくなることが多いです。

このように時期が連動していることと、実際にhCGの値が高い人はつわりがつらい傾向にあるといわれていますが、それがどのようなメカニズムで起こるのかなど詳しいことはわかっていません。

つわりの症状と対処方法

つわりといえば、吐き気をもよおす(悪心)・吐く(嘔吐)といった症状が主ですが、他にも身体がだるい・頭痛・下痢・四六時中眠い・唾液の量が増える・ごはんやタバコのにおいに敏感になる・食べ物の好き嫌いが変化する(食嗜変化)・食欲が減退あるいは増進するなどの症状もあります。そのため、自身に現れた症状に合わせて対策することが大切です。

 

1.食べつわり

何かを食べると気持ち悪くなってしまったり、逆に空腹時に気持ち悪くなってしまったりというような症状です。
特に朝は、食べつわりになりやすい時間帯です。 眠っている間にもカロリーを消費しているため、目が覚めた時には空腹になってしまっているのです。 起床時に気分が悪くなり動かず横になったままで空腹でいると、悪化していく一方となります。 朝の食べつわり対策として、起床後すぐに食べられるよう、枕元にビスケットやおせんべいなどを用意しておくことをおすすめします。 食べられない時や食べたくない時に無理をして食べる必要はありませんが、空腹になる前に少量食べる、のど越しの良いものを食べるといった形で対応していきましょう。

 

2.吐きつわり

何かを食べる食べないに関係なく、常に吐き気に悩まされてしまうようなものをいいます。傾向としては午前中に起こることが多いとされています。あっさりしたものを食べたり、炭酸飲料を飲むことで症状が和らぐことがあるとされています。吐きつわりは脱水症状を起こしやすいため、飲み物は水分補給がしやすく電解質のバランスを補ってくれるイオン飲料を飲むとよいでしょう。全く水分が取れない場合は、氷をなめて水分補給することをおすすめします。

 

3.においつわり

良いにおい、悪いにおいに関係なく、においによって気持ち悪くなってしまうようなものをいいます。一番良いのはそのにおいを嗅がないようにすることですが、どうしてもにおいによって気持ち悪くなってしまった時には、そのにおいの発生源から離れてしばらく安静にするようにしましょう。

 

 

気分が悪いからと家に閉じこもりがちになると、気持ちも落ち込んでしまいます。体が動くのであれば、映画を観に行ったり、ゲームをしたり、友達とおしゃべりするなどして、気分転換してみるのもよいでしょう。吐き気が強く身体もだるい場合は、無理をしないことが一番です。仕事や家事はできるだけ他の人に任せ、自分の身体と赤ちゃんを休ませてあげましょう。

注意が必要なつわり(妊娠悪阻)の症状

いつかは終わるつわりですが、症状が重すぎる場合や、中期・後期になってもつわりが治まらなかった場合は重症妊娠悪阻が疑われます。つわりの対策は、基本的に安静にしてストレスを減らし症状が落ち着くのを待つことですが、水分や食べ物を受け付けず一日中吐いていたり、体重が激減(妊娠前の-5%以上)したり、尿中のケトン体の有無によっては、点滴治療や入院が必要になることもあります。

また、通常つわりは徐々に気持ち悪さが緩和していくものですが、妊娠初期のつわりが急に止まった場合は流産の可能性もあります。万が一を考え、病院へ行って診てもらいましょう。

 

《 監修 》

  • 濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師

    大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
    星薬科大学非常勤講師。助産師(アドバンス)・保健師。
    産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
    はぐふるアンバサダー。
     
    妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
    また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
     
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