妊娠中 の体重管理はどうして必要?理想の体重増加値や管理のポイント【助産師監修】

2020.07.27

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妊娠中-リラックス

妊娠中はどうして体重が増えるの?

妊娠中の女性は、おなかの中で赤ちゃんが成長しています。

赤ちゃんを育むための胎盤も大きくなり、羊水量、母親の血液量や、皮下脂肪なども増加します。

一般的に、出産間近の赤ちゃんはおよそ3kg、胎盤および卵膜がおよそ0.5kg、羊水がおよそ0.5kgです(赤ちゃんの体重により胎盤の大きさや、羊水の量は変化します)。

母親の身体にプラスされるので体重が増加するのは必然なのです。

適正体重を知っておくこと

まずは、妊娠前の体重をもとに、自らの「適正体重」を調べてみましょう。

それを基準に、自分は太り気味なのか、またはやせ気味なのかを判断して、妊娠中の体重増加の目安を調整しましょう。

適正体重は次の式で計算ができます。

 

【BMI(Body Mass Index) = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)】

BMIが18.5未満の方は、やせに分類されます。

BMIが18.5以上25.0未満の方は、ふつうです。

BMIが、25.0以上の方は、肥満となります。

 

厚生労働省による、妊婦に推奨される体重増加量の目安は、やせ(BMI18.5未満)の方は、9kg~12kg。ふつう(BMI18.5以上25.0未満)の方は、7kg~12kg。肥満(BMI25.0以上)の方は、医師による個別判断となります。

妊娠中は体重の増えすぎに要注意!

太りすぎることにより、次のような症状の発生リスクが高くなります。

 

●妊娠高血圧症候群
高血圧やタンパク尿などの症状が現れる疾患です。管理入院が必要になったり、妊娠の継続が困難になったりすることもあります。

重症化すると、胎児発育遅延や常位胎盤早期剥離(赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれてしまう)、子癇(しかん:妊娠20週以降に起こるけいれん発作や意識消失のこと)などの合併症を引き起こす可能性があります。

 

●妊娠糖尿病
妊娠中の血糖値が異常に高くなってしまう疾患です。食事制限やインスリン治療が必要になることもあります。

高血糖にさらされることで早産や、巨大児などが出現しやすくなります。

 

そのほかにも、微弱陣痛や帝王切開後の縫合不全、腰痛などが、出現しやすくなります。

妊娠中は痩せすぎにも要注意!

母体の痩せすぎは十分な栄養が赤ちゃんに届けられないため、低出生体重児になる可能性が高まります。

また、胎内で低い血糖状態にさらされることで、赤ちゃんが成人したあとに糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高くなると報告されています。

現代の日本は、若者をはじめとして、女性の痩せすぎ傾向もあり、妊娠中も必要以上に太らないようにと意識してしまい、痩せすぎの妊婦さんも増えています。

赤ちゃんのためだけでなく自身の健康のためにも、必要な栄養をしっかりと摂取しましょう。

無理なく妊娠中の体重管理をするには

①できる限り妊娠初期の体重増加は抑えておくこと

食べづわりなどで摂取カロリーのコントロールが難しいこともあるかもしれませんが、妊娠中期から末期に向けての急激な体重増加を予測し、初期に増えすぎないようにすることが大切です。

 

②毎日同じ時間に体重チェックをする

自分の身体を知ることはとても重要です。ですので、体重測定の習慣を作りましょう。

また、計量する際に注意したいことは、毎日同じ時間に量るということ。なぜなら、体重は日内変動があり、朝と夜で数値が異なるためです。

また、急激な体重増加がある場合は、むくみやそのほかの疾患が隠れていることもあります。

 

③カロリー制限よりも栄養バランスを意識する

食事をする際に大切なことは、量やカロリーだけでなく、バランスがとても大切になります。

ただし、1食ですべての栄養素を賄うことは大変難しいので、3食でバランスよく摂取できるように心がけましょう。

また、イベントがあり食べすぎてしまった時は、2~3日かけて調整するようにしましょう。

 

④運動を生活に取り入れる

日々、生活の中で身体を動かす習慣をつけましょう。

また、散歩も下半身の筋肉を強化するので、週に2~3回、1回60分程度がお勧めです。筋力がつくことで、余分な体重増加を予防するだけでなく、産後の体重のもどりにも好影響を及ぼします。

《 監修 》

  • 濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師

    大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
    星薬科大学非常勤講師。助産師(アドバンス)・保健師。
    産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
    はぐふるアンバサダー。
     
    妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
    また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
     
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