双子や三つ子の妊娠: 多胎妊娠 (たたいにんしん)の症状や気を付けたいポイントについて【医師監修】

2022.05.13

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多胎妊娠とは?


同時に2人以上の赤ちゃんを妊娠することを多胎妊娠(たたいにんしん)と言います。

2人だと双胎(そうたい)、3人だと品胎(ひんたい)と呼びますが、一般的には双子(ふたご)や三つ子と呼ぶことが多いですね。
漫画や推理小説ではよく出てくる双子ですが、実際にどの程度の確率で双子になるかというと、大まかに言って1%くらいです。
ただこの数字には、不妊治療による排卵誘発なども含まれており、自然妊娠で双子になる確率は0.6%くらいだと考えられています。

多胎妊娠は、赤ちゃんが1人の妊娠に比べお母さんの体への負担が大きくなるばかりでなく、多胎特有の合併症も出るため妊娠中から出産までトラブルが起きやすくなります。

双胎妊娠(そうたいにんしん/双子)の3つの種類


まず、通常の妊娠(1人の赤ちゃんを授かった場合)では、おなかの中の赤ちゃんは内側に羊膜(ようまく)、外側に絨毛膜(じゅうもうまく)がある2重の膜で包まれています。(図)

羊膜は絨毛膜を裏打ちする薄い膜になります。
絨毛膜の一部が胎盤となっていて、へその緒で胎児とつながっています。
双子になっても、2重の膜に包まれているのは一緒ですが、その膜をどのように共有するかどうかで、次の3つの種類に分けられます。

▶一絨毛膜(じゅうもうまく)一羊膜(ようまく)…赤ちゃんは同じ膜に包まれていて、胎盤も1つ。
▶一絨毛膜二羊膜…赤ちゃんは別々の羊膜に包まれているが、絨毛膜は1つで胎盤も1つ。
▶二絨毛膜二羊膜…赤ちゃんは別々の羊膜と別々の絨毛膜に包まれていて、胎盤も2つある。

 
 

 
 

双胎妊娠の種類は、超音波検査による「膜性診断」で判明します。

膜性は妊娠週数が進むと分かりにくくなるので、遅くとも14週までに、できれば10週までに膜性診断を行うことが望ましいです。

 
 
なお、双子の場合、よく一卵性、二卵性という言い方をしますが、これは受精卵の数による呼び方です。
一卵性とは1個の受精卵が受精後に2個に分裂することで発生したもの、二卵性とは2個の受精卵から発生したものです。
非常によく似た双子は一卵性の可能性が高いですし、性別の違う双子は特殊な例を除けば二卵性です。
 
人の排卵の数は通常1つで、分裂して2つになることはまれですので、一卵性双胎になる確率は250分の1程度といわれています。一方、排卵誘発剤を使うと複数の排卵が起こり、複数の受精卵ができて同時に着床する可能性が高まります。
 
一卵性の場合の膜性は、分裂の時期によって3種類のいずれにもなる可能性があります。なので、初期の膜性診断がとても大切になります。二卵性の場合は、二絨毛膜二羊膜がほとんどです。

双胎妊娠で起こりやすいトラブル


双胎妊娠は、単胎妊娠よりもトラブルが起きやすく、二絨毛膜よりも一絨毛膜の方がリスクは高くなります。

これは、一絨毛膜の場合、1つの胎盤を2人で共有しているためです。
胎盤から臍帯(さいたい=へその緒)を通じて供給される血流が何らかの理由でアンバランスになると、双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん)や発育不全、胎児死亡などを引き起こすことがあります。
赤ちゃん同士を隔てる膜がない一絨毛膜一羊膜の場合はさらにリスクが高く、臍帯が絡まって赤ちゃんが死亡する可能性もあります。
おなかの中の赤ちゃんにどれくらい体重差があるか、というのが大切な指標で、25%以上の体重差がある場合は予後が不良であると考えられており、早めの帝王切開になることもあります。
 
 
また、おなかの赤ちゃんの数が多いことで、膜性に関係なく、お母さんの体の負担も大きくなります。
例えば赤ちゃんの推定体重が1500gになるのは30週前後ですが、2倍で3000g、つまり30週で満期と同じくらいのおなかの大きさになります。結果として早産になる可能性も高いです。
 
 
妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)になるリスクは単胎の場合の3倍以上、分娩後も子宮の収縮が不十分になり、弛緩出血(しかんしゅっけつ)のため輸血が必要なくらいまで出血する可能性が高まります。
大きな子宮が周囲の血管を圧迫し、深部静脈血栓症になるリスクも高いですし、胃や腸管の圧迫で食思不振や腸閉塞に近い症状になるケースもあります。
 
▶妊娠高血圧症候群の記事についてはこちらから

双胎妊娠の妊娠中に気をつけたいこと

妊娠中に起こりやすいリスクを減らすため、日常生活では次の点に注意が必要です。
 
 

・妊婦健診をきちんと受ける

多胎の場合は高次の医療施設での妊娠管理になりますが、その施設で定められた健診間隔をきちんと守りましょう。
胎児の体重差が出ないかどうか、羊水量の差が出ないかどうか、単胎の妊娠よりも密に時間をかけてフォローします。
施設によっては20週台後半から入院管理で慎重に経過観察することもあります。
さまざまなリスクを回避するために、きちんと受診しましょう。
自治体によっては、多胎妊婦の妊婦健診に対し、費用補助を行っているところもあります。
 

※高次医療機関…NICU(新生児の集中治療室)のある、大学病院や周産期センターなどの地域の中核病院

 
 
・塩分を控える
塩分の多い食生活は内臓に影響し、妊娠高血圧症候群を発症しやすくなります。
 
 
・太り過ぎに気をつける
太り過ぎは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を発症しやすくなります。妊娠中の体重の増加は、単胎で普通の体格なら8~10㎏とされていますが、多胎の場合は基準が設けられていません。お母さんの体格や妊娠の経過にもよるので、医師や助産師に相談しながら、体重を管理しましょう。
 
 
・貧血を予防する
赤ちゃんの数が多い分、より多くの血液が必要となります。普段から鉄分の摂取を意識したバランスの良い食事をして、貧血を予防しましょう。
 
 

多胎妊娠の出産

多胎妊娠では、早い時期から子宮の容量がいっぱいになるためおなかも張りやすく、早産が多くなります。出産は帝王切開(ていおうせっかい)が多いですが、赤ちゃんの子宮内での体勢や体重、妊娠の経過、妊娠週数などの条件が合えば、経腟(けいちつ)分娩を試みる施設もあります。


多胎妊娠はリスクが高いため、家族などにサポートをしてもらいながら、十分な安静を取ることが大事です。

ただし、慎重になり過ぎるとそれがストレスになり、かえって体に良くない影響を与えることがあります。
食事や運動などについての疑問や不安なことは医師に相談して、無理のない妊娠生活を送りましょう。
   

『参考資料』

https://www.mhlw.go.jp/content/000509321.pdf
平成30年度子ども・子育て支援推進調査・研究事業 多胎支援のポイント
(厚生労働省:2022年3月閲覧)

《 監修 》

  • 井畑 穰(いはた ゆたか) 産婦人科医

    よしかた産婦人科診療部長。日本産婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医。東北大学卒業。横浜市立大学附属病院、神奈川県立がんセンター、横浜市立大学附属総合周産期母子医療センター、横浜労災病院などを経て現職。常に丁寧で真摯な診察を目指している。

    HP https://www.yoshikata.or.jp/ よしかた産婦人科

     

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