2022.07.19
アトピー性皮膚炎の子どもの皮膚は乾燥しているのが特徴です1) 。
皮膚に加わる様々な刺激や皮膚からのアレルギー物質の侵入によって、かゆみや炎症が生じやすい状態になっています。
そこで、皮膚表層の水分量を高めて乾燥肌を改善し、皮膚がもともと持っている「バリア機能」を回復させようというのが、保湿薬・皮膚保護薬です(単に「保湿薬」とまとめて言うこともあります)。
保湿薬は保湿成分が皮膚に浸透して水分量を増加・保持し、皮膚保護薬は油脂性の軟膏で皮膚を覆い、水分が蒸発しないようにします。
例えば、保護者の皆さんでも知っている方が多い「ヒルドイド」は保湿薬、「白色ワセリン」は皮膚保護薬に当たります。
これを1日2回あるいは3回など、医師から指示された回数を塗りますが、そのうちの1回は、入浴後の皮膚が湿っている時間に塗るとよいとされています2) 。
塗る量は、一般的には「塗った箇所にティッシュペーパーが貼り付いて落ちないくらい」がよいとされています2) 。
もちろん、皮膚の状態によって異なるので、担当医に聞いてみましょう。
皮膚の炎症を抑えるステロイドの塗り薬(📖ステロイドの塗り薬の記事はこちらから)と、日ごろから皮膚をケアする保湿薬・皮膚保護薬は「車の両輪」と言え、アトピー性皮膚炎治療の基本です1) 。
保湿薬・皮膚保護薬を適切に使用すれば、炎症の再燃や皮膚からアレルギー物質が侵入するのを抑えることにつながります1) 。
この記事では、子どもに使われる主な保湿薬・皮膚保護薬を紹介します(2022年4月時点)。
アトピー性皮膚炎
など
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)
ケラチナミン/ウレパール/パスタロン(尿素)
ザーネ(ビタミンA)
アズノール(ジメチルイソプロピルアズレン)
白色ワセリン/プロペト(白色ワセリン)
亜鉛華(あえんか)軟膏/亜鉛華単軟膏/サトウザルベ軟膏10%、20%(酸化亜鉛)
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。