2022.07.11
1. あせも とはこんな病気
2. あせも の原因と症状
3. あせも の検査でわかること
4. あせも の治療法と薬
5. あせも のホームケアと予防
新生児を対象にした調査では、16.9%にあせもがみられ、冬に比べ春と夏に多いことが分かりました 2) 。あせもは、医学的には汗疹(かんしん)と呼ばれています。
あせもができやすい体の部位は、ひたい、鼻のつけ根、首の前と後ろ、胸、肩、背中の上部、手足が曲がる部分の内側です(図2) 2,3) 。
あせもができやすい季節は春と夏ですが、冬でも暖房の効き過ぎや厚着のし過ぎで起こることがあるほか、湿布、包帯、ギプス、絆創膏などをした部位や通気性の悪い衣類を着た場合にも起こりやすくなります3)。
あせもは、汗の通り道である汗管(かんかん)が詰まることによって起こります。
汗管が詰まる原因は、汗の中の成分が滞ることや細菌の働きによるといわれていて、発熱時に汗を大量にかいたときにも起こりやすいといわれています 1,3) 。
人間の汗腺(かんせん/汗を出す腺)の数は生まれた時から200万~500万個あるといわれており、大人になっても汗腺の数が増えることはありません。
また、汗腺から出る汗の量は、12歳ごろがピークとなり、その後は減ることが分かっています。
このため、皮膚の面積の大きい成人に比べ面積の小さい小児では、汗腺の密度が高いうえ、汗の量も多いため、あせもになりやすいと考えられます 3,4) 。
あせもは、汗腺から表皮までのどの部分に汗が溜まったかによって、3つに分類されています。
角質に汗が溜まったものを「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」、表皮に汗が溜まったものを「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」、皮膚の深い部分である真皮に汗が溜まったものを「深在性汗疹(しんざいせいかんしん)」と呼んでいます(図2) 3) 。
●水晶様汗疹
水晶様汗疹では、直径1mmほどの透明な破れやすい水泡ができます。
通常は、皮膚の赤みや腫れ、かゆみなどの症状はみられず、数日で治まります。
●紅色汗疹
紅色汗疹は、日常でよくみられる赤いあせもです。
炎症が起こるため皮膚の赤みやかゆみがみられ、1~3mmの紅色の膨らんだ発疹ができます。
かゆみのために発疹を掻きこわすと、黄色ブドウ球菌などの細菌に感染して膿を含んだ発疹になることもあります。
●深在性汗疹
深在性汗疹では、かゆくない1~3mmの白い発疹ができます。
熱帯地方のような気温の高い地域にみられ、わが国ではまれです3,4) 。
あせもは、発疹の出た部位や生活状況から診断します。
紅色汗疹では、毛包炎(もうほうえん:根毛を包んでいる毛包に起こる炎症)、虫刺され、アトピー性皮膚炎ではないことを確認するため、鑑別診断を行います 3) 。
通常、水晶様汗疹は自然に治るので治療の必要はありません。
紅色汗疹では、軽い場合はフェノール・亜鉛華リニメントやカラミンローションを用いることがあります。湿疹化して痒みが強いときには、ステロイドの塗り薬を用い、細菌感染がみられるときには、抗菌薬(抗生物質)の塗り薬(リンク)を用います。
📖ステロイドの塗り薬の記事はこちらから
📖抗菌薬入り塗り薬の記事はこちらから
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。
松井潔先生監修記事一覧
📖子育てに掲載中の記事