妊娠中 に読もう:知っておきたい母乳のこと、おっぱいケアはどうする?【助産師監修】

2020.05.25

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妊娠中-基礎知識

乳房の大きさは母乳に関係するの?

できれば母乳で育てたい。母乳を出すために、妊娠中からできることはやっておきたい。と、考える方も多いと思います。
母体は、妊娠4カ月ごろから赤ちゃんにとって重要な「初乳*」をすでに作りはじめています。母乳の量や分泌の良さなどは、乳房の大きさと関係があるのでは、と心配される方もいますが、乳房の形や大きさは脂肪組織によって個人差が出るものの、脂肪組織の量が母乳の量や成分に影響することはありません。たとえ、乳房が小さくても妊娠中は乳腺が大きく発達し、そこできちんと母乳が作られます。そして、産後すぐに吸わせることにより、母乳は十分分泌されるようになります。このように女性の体は母乳を作るための仕組みが備わっていて、妊娠するとお腹の赤ちゃんと共に、大きな変化を遂げていきます。

 

*初乳…初乳とは、産後1週間くらいの間に分泌される、粘性のある半透明から 黄色味が強い乳汁で、成乳と比較するとたんぱく質や脂肪分が多く、赤ちゃんの喉や消化器官を病気から守ってくれる免疫抗体が多く含まれているのが特徴です。

母乳の出をよくするために、妊娠中からできるおっぱいケア

母乳は、乳頭刺激によって分泌が促進されます。ですので「出ていないから吸わせない」ではなく、「吸わせていると出るようになる」ということを理解しておいてください。もちろん、出るようになるのが早い人もいればゆっくり時間をかけて母乳が出る方もおり、個人差はあります。時にはミルクなども使いながら、自分と赤ちゃんのペースで母乳育児が楽しめるようにしていきましょう。

 

まずは、自分の乳頭・乳房に興味を持ち 、よく観察しておくことが大切です。お風呂に入った時など乳首の大きさや形などをチェックしてみましょう。赤ちゃんは、母乳を吸う時に 乳頭だけでなく、乳輪部までを含み吸啜(きゅうてつ)を行います。授乳の時に大切なことは、乳頭や乳輪部がやわらかくのびが良いということです。ですので、妊娠中から自分でつまんで引っ張ったり、圧をかけて刺激をしたり、硬い部分はないかチェックしましょう。また、産後はすぐに 頻回に授乳を行う必要があるため、分泌物で汚れ垢がたまっているような時は、洗って清潔に保ちましょう。(乳頭の垢などが取れにくい場合は、オリーブオイルなどをコットンに含ませしばらく湿布をし、その後洗浄をすると汚れが落ちやすいです)
乳頭が陥没している場合には、乳頭吸引器などを使い妊娠中から乳頭が突出するようケアを行っていきましょう。

 

【注意】
乳頭は刺激を行うと子宮を収縮するホルモンが分泌されます。乳頭刺激によりお腹が頻回に張るような時は、中止しましょう。また、切迫早産などの診断を受けた人は、乳頭の刺激は控えましょう。

おっぱいケア以外にやっておきたいこと

  1. 産後の授乳をイメージしておこう
    赤ちゃんの抱き方の練習や、授乳の方法など、見たり聞いたりする機会があれば積極的に参加してみましょう。地域や病院によっては、妊娠中からの母乳教室などを開催しているところもあります。
  2. 体力をつけておこう
    赤ちゃんは胃が小さいうえ、母乳は消化が良いため何度も飲みたがり、授乳回数が多くなることもあります。何度も吸わせることは良いことですが、慣れるまでは負担に感じるかもしれません。また、夜間の方が母乳の分泌が盛んになるため夜間授乳が増え身体的負担もふえます。ですから、妊娠中からバランスの良い食事と適度な運動で体力をつけておくことが必要です。また、疲れる前に小まめに休むという習慣を身につけておきましょう。
  3. 病院の母乳育児の方針を把握し相談しておこう
    母乳育児のサポートは、出産施設により方針が異なります。母乳育児を推進している病院もあれば、母乳とミルクの混合を推進している病院もあります。病院の基本的な方針と自分の希望が合致しているか確認をしましょう。
    母乳育児を望む場合は、早期の頻回授乳など 母乳育児に良い産後の過ごし方が実際にできる環境であるか、赤ちゃんと同室か、必要な時に使える補助具(たとえば、搾乳器や乳頭吸引器など)の備えがあるかなども含めて相談しておきましょう。また、トラブルがあった時に診てくれる、地域の母乳外来を行っている開業助産師などを探しておくことも重要です。

母乳の出をよくするための産後の過ごし方

母体や赤ちゃんの状態にもよりますが、生まれたら早めに授乳を開始しましょう。 肌で触れ合うことで、赤ちゃんの心臓や呼吸が落ちつき、自然と授乳を始めることができます。また母親の肌から、体に良い菌をもらい抵抗力がつきます。

 

初乳は低血糖を防ぐことができ、免疫力をつけます。母乳がまだ出ていなくても、吸わせることで母乳分泌のスイッチが入り、母乳量が増えていきます。刺激が少ないと、母乳を作るホルモンが減ってしまいます。そのため回数や時間にとらわれず、吸いたいだけ吸わせます。また、吸っているのにうまく飲みとれていないと母乳の量が伸び悩むことがあります。慣れるまでは飲みとれているかを専門家に確認してもらいましょう。

《 監修 》

  • 濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師

    大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。

    星薬科大学非常勤講師。助産師(アドバンス)・保健師。

    妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。

    また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。

    HP https://maieutics.co.jp/

     

     

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