【医師監修】妊娠超初期 ・妊娠初期に薬は飲める?赤ちゃんへの影響について【プレママ必見!】

2023.06.16

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妊娠超初期・妊娠初期の薬の影響について【監修】井畑 穰(いはた ゆたか) 産婦人科医

「妊娠しているときは、薬は一切飲んじゃ駄目」

産科の外来をしていると、そのように考えている妊婦さんにたくさん出会います。

「薬を飲むと、赤ちゃんに影響して大変な副作用を引き起こすかもしれない」
「自分が我慢しさえすれば、赤ちゃんへの影響は無くなる」

そう思っている妊婦さんも少なくありません。
この考えは正しいのでしょうか?

 

どんな薬でも妊娠中に服用すれば、何らかの影響を赤ちゃんに与えることは間違いありません。

その影響が無視できるくらいごくわずかなものなのか、一生に関わるような多大なものなのか、それを知るにはそれぞれの薬についての知識が必要です。
また、薬の影響ばかり考えていて、薬によるメリットをないがしろにしてはいけません。

例えば高熱になっても我慢して解熱剤を使わず、お母さんの体調が悪い状況が続けば赤ちゃんに良くない影響を与える可能性もあります。

薬を使わなければ影響が無いわけではないのです。
精神的な健康も含めて、お母さんの健康は赤ちゃんの健康に強く結びついていることを忘れないでください。

 

💡なお、同じ薬でも、妊娠期間の服用時期によって影響は大きく異なります。
一般的に初期になればなるほど影響が大きくなることが多いとされています。
そこで今回は、まだ妊娠に気付かないことが多い妊娠超初期と、赤ちゃんの骨格や器官ができる妊娠初期の薬の影響についてご紹介します。
妊娠中の健康管理のため、薬との正しい付き合い方を知っておきましょう。

妊娠週数ごとの薬のリスクは?

お母さんが飲んだ薬のリスクを考える際、重要なのは妊娠週数です。

「妊娠中に飲むべきではない薬」であっても、服用時に赤ちゃんがどのような成長の時期だったかによって薬が及ぼす影響は異なります。

 

《妊娠0~3週末まで》

妊娠超初期とされるこの時期ですが、正しくは排卵し受精するまでは妊娠が成立していませんので、受精前後の2週程度が対象になります。

この時期の受精卵への薬の影響は、「全か無か(all or none)」と考えられています。
超初期の赤ちゃんがもしも薬によってダメージを受けた場合、ダメージが大きければ胎芽死亡となり流産してしまいます(全か無かの「全」)。
しかし死亡に至らないような場合は、薬によるダメージは修復されて妊娠が継続し、奇形(赤ちゃんの四肢や臓器の形態異常)などを引き起こす恐れもないと考えられています(全か無かの「無」)。
この考え方は、妊娠に気付かずに薬を服用してしまった、というときにお話しする内容で、後になって心配になったとしても、「現時点で赤ちゃんが元気であれば、この時期に飲んだ薬剤の影響を心配する必要はない」と理解してください。

 

《妊娠4週~7週末まで》

妊娠4週からは、脳などの中枢神経や心臓、四肢など主要な器官の形成が始まる重要な時期です。
この期間に服用すべきでない薬を服用してしまった場合、命に関わるような大きな奇形が起こりやすいとされています。
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《妊娠8週~11週末まで》

主要な器官の形成は終わりますが、口蓋(こうがい)や性器などの形成が続いている時期です。
薬により大きな形態異常を起こす可能性は徐々に低下しますが、まだ小さな奇形を起こすリスクは残っています。
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《妊娠12週~》

妊娠12週以降は、薬により奇形が起こる可能性はかなり低くなります。
ただし、胎児毒性(たいじどくせい)といって、形態異常が無くてもおなかの赤ちゃんの聴覚や循環器などの発育が抑制される可能性があります。

 

繰り返しますが、これらは「服用すべきでない薬」を飲んだ場合の話ですので、すべての薬は妊娠初期に飲むべきではないという意味ではありません。

妊娠したら薬が飲めないという考え方はおすすめできません。

適切な薬を適切に飲むことは問題ありません。

「服用すべきでない薬」とは何なのか?

妊娠にどのような影響を及ぼすかによって異なりますが、胎児に先天異常を起こす可能性のあるものや流産を起こす可能性の高いものなどは「妊娠中禁忌」と規定されています。

具体的には、抗がん剤や免疫抑制剤、高血圧薬や高脂血症薬の一部などが知られています。

 

そのような薬を持病の薬として飲む必要がある方は、処方している医療機関と相談して、妊娠に備えて変更したり減量したり、妊娠が分かったら速やかに服用を中止するなどの対策をします。
花粉症の薬や風邪薬、胃腸薬など対症療法として市販されている薬は、そこまでリスクの高いものは少ないので、一般的な量ならまず問題ありません。

 

💡しかし、よく使われる鎮痛解熱剤(イブプロフェンやロキソプロフェンなど)は、アセトアミノフェンを除くほぼすべての薬が妊娠中の使用を避けた方がよいとされていますので注意が必要です。

💡風邪薬にも含まれています。
💡湿布に使われるインドメタシンもできれば避けた方が望ましく、外用薬ですが注意すべきものの一つです。

薬を使用する効果とリスクは?

これまでご説明してきたように、妊娠初期はおなかの赤ちゃんが薬の影響を受けやすい時期ですので、薬の服用に慎重になる必要があります。
しかし、いくら気を付けていても妊娠中に病気になる可能性はありますし、妊娠前からの持病があるお母さんもいます。

 

お母さんの健康が損なわれると赤ちゃんの胎内環境が悪くなり、ひどいときは発育遅延などの影響が出る恐れもあります。
薬が不安だからといって症状を放置せず、体調が悪くなったら、まずはかかりつけの産婦人科の医師に相談することです。

 

また、持病などで飲んでいる薬については、自己中断することなくすぐに処方されている病院と相談して、現在の症状に合わせて適切なものに変更することが大切です。

おなかの赤ちゃんにリスクがあることが証明されている薬で妊娠中に飲む可能性のある薬は、実はそれほど多くはありません。

一方、胎児の奇形は全分娩の約3%に発生していますが、原因のほとんどは不明だったり遺伝的なものだったりで、明らかに薬が原因とされる奇形は、奇形の中の1%未満とされています。
医師はこれらのことを踏まえた上で、妊娠週数やお母さんの病気の状態などから、効果とリスクを総合的に考えて薬を処方します。
病気を治すためには、処方された薬は医師の指示通りに飲むことが大事です。

 

十分に納得して治療を受けるために、受診の際は自分の体調をありのままに話し、疑問を感じることは遠慮なく質問して不安を解消しておきましょう。
また、処方された薬を飲んで、もしもむかつきや発疹など体調に変化があった場合は、勝手に薬を中止せず、すぐに受診してください。

 

なお、妊娠が分かる前に飲んでしまった薬が気になったり、妊娠中の薬に関して十分相談できる医療機関が無かったりする場合は、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」を利用することもできます👇

漢方なら妊娠中も飲んで大丈夫?

漢方とひとくくりに言っても多数の生薬が使われており、「漢方であればすべて安心」とは考えない方がよいでしょう。
ただ、昔から多くの人が飲んでいた処方ですので、赤ちゃんへの影響が強いものであればその副作用は知られているはずだと考えると、妊娠中よく使われるものについては安心して使用できると思います。

 

また、安胎薬という概念が漢方にはあり、当帰芍薬散のように妊娠中の諸症状を和らげることを効能としてうたっているものもあります。

一般的な薬に抵抗がある方でもかかりつけの産婦人科と相談して使ってみてもよいと思います。

妊娠中のカフェインはNG?飲まない方が良い?

薬と並んで、カフェインも妊娠中に飲むことをためらうお母さんが多いものの一つです。

カフェインは、コーヒーや緑茶などに含まれる天然の食品成分です。
カフェインは、妊娠中に摂取してはいけないものではありませんが、海外では流産や新生児の低体重のリスクがあるとして、摂取量の目安を設定している国や国際機関があります。

今のところ日本では、妊娠中のカフェインの摂取についてのリスク評価が行われていませんが、世界保健機構(WHO)では1日当たり300㎎以下、欧州食品安全機関(EFSA)では200㎎以下を推奨しています。
コーヒー1杯(150ml)のカフェイン量はだいたい90㎎とされていますので1日2杯程度、大きめのマグカップなら1杯くらいは妊娠中でも問題ないという計算になります。

 

カフェインはコーヒーや緑茶だけでなく、紅茶やチョコレートなどにも含まれています。むやみに我慢することはありませんが、摂り過ぎないように気を付けましょう。

サプリメントなら大丈夫?

妊娠超初期の葉酸不足は胎児奇形の可能性がある、というのは疫学的に知られており、妊娠前や妊娠中の葉酸摂取はとても大切です。
また、葉酸欠乏による貧血も知られており、鉄分と葉酸を組み合わせたサプリメントもあります。

最近は妊娠中に飲むことを想定して葉酸を強化したマルチビタミンのサプリメントも多く販売されています。

これらのサプリメントについては、一般的な使用量を超えなければむしろ飲むことが望ましいというのが現在の主流の考え方です。
 
💡ただし、脂溶性ビタミンであるビタミンAについては、飲み過ぎると目や心臓などに奇形をきたす可能性があるとされていますので気をつけましょう。
食品に含まれるレベルのビタミンA(βカロテン)であればまったく気にすることはなく、むしろ有用です。

《 監修 》

  • 井畑 穰(いはた ゆたか) 産婦人科医

    よしかた産婦人科診療部長。日本産婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医。東北大学卒業。横浜市立大学附属病院、神奈川県立がんセンター、横浜市立大学附属総合周産期母子医療センター、横浜労災病院などを経て現職。常に丁寧で真摯な診察を目指している。

    HP https://www.yoshikata.or.jp/ よしかた産婦人科

     

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