2020.02.03
成熟した卵子が卵巣から飛び出すことを「排卵」といい、排卵した卵子が精子と出会って受精すると「受精卵」となり、無事に子宮に着床すると「妊娠」が成立します。しかし、卵子の生存期間は短く、排卵後約24時間しかありません。妊娠をするためには、自身の排卵日をできるだけ早く、正確に知ることが必要になります。
そこで使用できるのが、排卵検査薬です。 排卵検査薬は市販の検査薬で、正式には「排卵日予測検査薬」といいます。排卵検査薬を使うと、排卵する約1~2日前 に排卵日を予測できるので、妊娠のベストタイミングを知るのに役立ちます。「第1類医薬品」という位置づけで、薬局やドラッグストア、ショッピングサイトなどで販売されています。製品によって異なりますが、5~12 回分で1セット、3000円前後の価格帯が多いようです。
採尿タイプの場合、尿の中に含まれる黄体形成ホルモン(LH)の濃度が増加した日を測定することで排卵日を予測することができます。排卵検査薬で陽性だった場合は、LHサージが起きた後(LHが大量に分泌された後) になりますので、間もなく排卵があります。陽性反応が現 れた日かその翌日に排卵があると考えられるため、この両日が最も妊娠しやすい時期となります。
しかし、排卵日だけに 黄体形成ホルモンは分泌されるわけではありません。黄体形成ホルモンは通常、排卵日の前後にもまたがって分泌されるため、妊娠の可能性をより高めたいと思ったら、排卵検査薬で陽性反応がでたタイミングに、継続的に性交をすることが大切となります。
検査薬は、あくまでも排卵日を予測するものなので、まずは基礎体温を数サイクル測り、自分の月経(生理)周期を把握し、そこから排卵日を予測し、その周辺の日にちに検査薬を使ってみましょう。
月経周期が規則的な場合は、排卵は次の月経 が始まる14日前の前後数日に起こるため、多くの検査薬では「次の月経 が始まる予定日の17日前から1日1回(判定に悩む場合は2回)」の使用を推奨しています。その日は陰性でも翌日に陽性になることもあるので、検査薬は連日、使ってみるとよいでしょう。 検査を続けてもずっと陰性の場合は、LHサージが起 こっていないことになります。月経周期が何らかの理由でずれた場合、検査のタイミングと排卵のタイミングが合わずに陰性になることもありますので、一度基礎体温と合わせて確認してみましょう。
また、月経周期が不規則な場合は、基礎体温から排卵日を予測しにくいため、排卵検査薬を使うのが難しいようです。何回か試して陽性にならない場合や基礎体温で低温相が続き、高温相が訪れない時 は、排卵が起こらない「無排卵周期症」の可能性もあるため、まずは治療を受けたほうがいいケースもあります。このようなケースでは、一度婦人科で相談したほうがよいでしょう。
簡単な方法で確認できる排卵検査薬ですが、より正確な判定を得るために、同じ時間帯に測定することが大切です。また、尿で測定をしますので、たくさんの汗をかくような運動をした後や、水分をたくさん取 った後などは不向きです。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
星薬科大学非常勤講師。助産師(アドバンス)・保健師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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