『 黄体機能不全 』とはどんな状態?症状や診断方法、治療方法について【医師監修】

2020.05.25

7

黄体機能不全とは?【監修:洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医】

黄体機能不全とは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が足りないために、本来の機能がうまく働いていない状態のことです。

基礎体温が上昇しなかったり、高温期が10日以上続かなかったりすることで分かります。

 

卵巣で卵子が成熟して排卵したあと、残った卵胞は黄体化して、プロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンを分泌します。
この黄体ホルモンの働きによって子宮内膜が厚くなり、ふかふかのベッドのような状態になって着床に適した状態を作り、受精卵の着床を待ちます。

 

しかし、黄体ホルモンの分泌量が十分でないと、子宮内膜は十分に厚くならず、受精卵が着床しにくくなってしまいます。

つまり、黄体ホルモンは着床のために不可欠なものです。

黄体は通常14日間で機能を失い、プロゲステロンを分泌しなくなり、月経が起こります。

妊娠すると黄体は活性化し、機能し続けて妊娠継続をサポートします。
黄体ホルモン(プロゲステロン)は基礎体温を上昇させる働きがあります。

黄体機能不全の症状、検査は?

自分で黄体機能不全を疑う症状としては、基礎体温高温期が短いことが挙げられます。

通常であれば、高温期は10〜14日間ほど続きますが、高温期が9日以下であれば、黄体機能不全が疑われます。これは、黄体ホルモン(プロゲステロン)が十分に分泌されていないために高温期を維持することができないからです。

 

また、高温期が短いために月経周期も短くなることがあります。
そして、ホルモン不足から高温期に不正出血がある場合もあります。

 

病院では、高温期に血液検査でプロゲステロン値を測って黄体機能不全かどうかを診断します。

黄体機能不全の治療法は?

治療は、黄体ホルモン剤を補充する薬物療法になります。

排卵後から約10日間、プロゲステロン製剤を内服します。
また、黄体ホルモンの分泌には卵胞を成熟させて排卵させることが必要です。
そのため、卵子を成熟させて排卵を促す目的で排卵誘発剤を使用することがあります。

 

《 監修 》

  • 洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医

    聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。

    不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。

    HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
     
    洞下由記先生の監修記事一覧(妊娠希望)
    📖妊娠希望に掲載中の記事

     

    【本サイトの記事について】
    本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。 Unauthorized copying prohibited.
    登場する固有名詞や特定の事例は、実在する人物、企業、団体とは関係ありません。インタビュー記事は取材に基づき作成しています。
    また、記事本文に記載のある製品名や固有名詞(他企業が持つ一部の商標)については、(®、™)の表示がない場合がありますので、その点をご理解ください。

この記事は役に立ちましたか?

ありがとうございます!フィードバックが送信されました。