アンバサダー対談vol.3「助産師さんに聞く 妊婦健診 について」【助産師監修】
妊婦健診で行うことは?
*アンバサダー対談インタビュー*
―― 今回は、妊婦健診に関していろいろとお尋ねしたいと思います。
お母さんと赤ちゃんの健康状態を確認するために行われる妊婦健診は、産科のある病院や診療所、助産院などで受けることができると思います。健診の対応については、お医者さんと看護師さん、助産師さんが行っていらっしゃるのでしょうか?
濵脇
そうですね。
看護には、助産師・保健師・看護師という三つの国家資格があります。
今は、お産は病院で行うケースが多いので、大体は助産師か看護師が対応します。
妊娠に関して病院でいろいろ説明をするのは、助産師ですね。
―― そうなのですね。
濵脇
今の日本では、看護師の免許がないと助産師や保健師の国家資格を取得できないので、必ず看護師の免許を持っています。
それぞれの職域や関わる分野は異なりますね。
助産師は、妊娠及び出産の保健指導を行うので病院・助産院などで働いています。
看護師は、診療の補助や療養所でのお世話を行います。
看護師も退院指導や生活上の指導を行うことがありますが、基本的には療養に関連した業務が中心となります。
一方、保健師は病院ではなく、主に行政での業務を行います。
例えば、役所での届け出に対する受付や相談、保健指導や地域のリソース紹介、行政サービスの連携などを担当します。
―― 妊娠した時に血圧を測ったり、体重測定をしたり、お腹の周りを診たりなどいろいろ測定していらっしゃるのは助産師さんってことですね。

濵脇
はい。おっしゃるとおりです。
―― 病院によっては、“助産師外来”があるところもありますが、妊娠健診の内容とは違うのですか?
濵脇
変わらないと言ったら語弊があるかもしれませんが、基本は同じです。
例えば血液検査を行って、医師から“血糖値が高いので食事に気をつけてくださいね”と言われても、どう気を付けたらよいかわからないという方もいらっしゃると思います。
助産師による保険指導では、“あなたは今こういう状況だから、朝食は血糖値が急激に上がらないようにこれとこれは避けましょう”とか、“こういった食べ物を摂取するとよい”とか、“こういうことしちゃだめよ”とか、具体的な生活レベルでのアドバイスを行います。
病院によって指導内容の位置づけは多少異なったりするのですが、助産師外来のある病院は、助産師が検査結果と共により詳しく説明を行うイメージですかね。
医師が約5分〜10分の診察に対し、助産師外来は約30分が一般的です。
―― 長めの時間を取っていただけるんですね。
濵脇
そうなんです。もっと具体的に生活指導をしてくれる場所という感じですね。
医師の診察時に全く質問できないわけではありませんが、 助産師が行う保健指導の場では、より細かく話が聞けますよ。
先生からこう言われたけど、具体的にどういうことをやっていったらいいのかとか、そのあたりをゆっくりお話ししますし、なんでも聞ける場として活用してほしいなと思います。
―― 人によっては質問が得意ではなく、質問が浮かばず困っていることはないです!と答えてしまう方もいるかもしれないと思ったのですが、妊婦さんが何も言わない場合でも助産師さんからの保健指導はあるのでしょうか?
濵脇
悩みを話していただくのが一番ですが、私たちが見て気が付くこともあります。
“お通じはある?“とか“おしっこ1日何回ぐらい行ってますか?”とか、そういったことはこちらからも聞くので、その時の回答でわかることもありますね。
医師の診察ではエコー検査や画像診断が主ですが、助産師は目と手を使って患者さんチェックします。
まずは目視で全体像をみて、顔色は大丈夫そうかなとか、歩き方がどこか痛そうだなとか、そういったことを観察しています。
検査の数値などももちろん活用しますが、手触りでわかることも多いです。
妊婦さんのお腹には羊水が入っているのでぐいぐい押さえるわけにはいきませんが、下腹部の所に触れて便秘気味かどうかを診たり、冷えているところがないかを診たり、足のむくみなどを触診しながら確認します。

妊娠初期・中期・後期、妊婦健診では何を聞けばよい?
―― 妊娠初期・中期・後期、それぞれどんなことをアドバイスされているのでしょうか
濵脇
初期の段階では、妊娠自体が安定していないため、ホルモンバランスによる不調がとても多いです。
まだ胎盤がしっかりしていないこともあって流産の兆候も現れやすい時期です。
いまは症状が出ていませんが、これからこういう症状が出てくることがありますよと今後の話をしたり、胎盤がしっかりしていないから、体に負担がかかるようなことはやめていこうねみたいな話をしたりします。
つわりなどの悩みの相談もたくさん受けます。
中期の段階では、妊娠の中で一番安定している時期なので、今のうちに出産に向けての体力づくりとか準備のお話をしたりします。
実は中期ぐらいからいろいろイメージしておくのが大事なんです。
なぜかというと…後期になったらみんなもう産むことで頭がいっぱいになりますからね。笑
―― たしかに、もうすぐ出産となったら、やることがたくさんあって、体力づくりなどは二の次になってしまいそうですね。
濵脇
まだまだ先の話だと思っていると、案外出産日はすぐやってきます。
体力づくりとか、調べ物(産後ケア・産後のサポート・用意するものなど)は、妊娠後期になると、お腹も大きくなって体の負担が増えてきますし、妊娠中期の体が安定している時期に準備しておくとよいです。

濵脇
後期の段階では、旅行や移動に関しての質問を受けることもあります。
例えば、里帰りで飛行機に乗ってもよいか?などの質問はよくされますね。
移動中の体調については、医師が絶対保証できるわけではないので、乗るか乗らないかは個人の判断となります。
(航空会社によって、妊娠週や出産予定日について事前に申し出が必要であったり、搭乗時は医師の診断書の提出が必要となったりします。)
思っている以上に体に負担がかかるので、例えば車で移動をするにしても、一つの目安として何時間に1回は休みを取るようにとか、車の中で寝ていけるようにこんなグッズを活用していくとよいですよとか、そういったアドバイスをします。
―― ありがとうございます。かなり親身になっていろいろと話を聞いてくださるととても心強いですね。
なお、あまり質問する方はいないかもしれませんが、性交渉に関する相談なども受けたりしますか?
濵脇
ありますよ。
妊娠中は、その時の体調にさえ気を付ければ、とくに妊娠中の禁止はされていません。
ですが、初期の頃だとまだ不安定なので心配があるとか、逆にお腹が大きくなってはってきたりとかしたら体調面で不安定になる方もいるので、無理をしないのが一番です。
精液の中には子宮の収縮を促す物質が含まれているため、コンドームは使うように指導します。
こういう話は、なかなか相談しにくいかもですが、悩んだらぜひ相談してください。
――ありがとうございます。体調面はもちろんですが、外出時の心配事やプライベートな面についても
ご相談できるというのは改めて知っていただきたいですね。

濵脇
先ほどもお伝えしましたが、なんでも聞ける場として活用してほしいなと思います!
やっぱりどうしてもみんな病院に来ると、緊張して聞きにくいこともあるかと思います。
病気のことや、赤ちゃんの成長のようすしか聞いちゃいけないのかなとか思ったり。
でも、そんなことはなく、ちゃんとお母さんの体やメンタルも健やかに過ごせることが大事になります。
なので、本当に聞いちゃいけないっていうことは何一つないと覚えておいてくださいね。
―― 心強いお言葉ありがとうございます。妊婦健診についていろいろなことを教えていただきありがとうございました。
《 監修 》
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濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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