冷えと女性ホルモンの関係は?知っておきたい冷えの原因と対策【医師監修】

2025.04.11

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【監修】レディースクリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓先生

手足をはじめとした体の一部が冷え、つらさを感じたことはありませんか?

その主な原因は、血流のトラブルにあります。
血液には熱を運ぶ役割があるため、その流れが悪化すると体が冷えてしまうのです。
そんな冷えは、特に女性に多く見られます。
しかも、冷えは女性ホルモンの分泌や不妊に関係する可能性も……。
女性が健やかに過ごすためには、冷え対策が欠かせません。
そこで本記事では、冷えの原因や対策方法を詳しくご紹介。
ぜひ今日から、血流のいい「冷知らず」の体を目指してください。

女性の体が冷える原因は?

一般的に、女性の体は冷えを感じやすいといわれています。
そのおもな理由は以下のとおりです。

 

・筋肉が少なく脂肪が多い

女性は男性に比べて、熱を生み出し、また血流を促す役割をもつ「筋肉」の量が少ない傾向にあります。反対に、一度冷えると温まりにくい「脂肪」は多いため、男性に比べて冷えやすいのです。
なお、男性も高齢になると冷え性に悩まされる方が増えるのは、筋肉量が減るためと考えられます。
 

・月経により全身を巡る血液量が減る

月経中は体の血液量が一時的に少なくなり、特に末端に血が行き届きにくくなります。
 

・ホルモンバランスの変化

月経や妊娠・出産、閉経などのタイミングで女性ホルモンのバランスに変化が生じると、自律神経の働きに悪影響を与えることがあります。自律神経には体温を調節する役割があり、ホルモンバランスの乱れが冷えにつながるのです。

 
上記のような女性ならではの特徴のほか、生活習慣の乱れ(バランスの悪い食事や運動不足、喫煙)や服装(血流を阻害する強い締めつけのある衣服、スカートなどの体を冷やす衣服)、ストレスなども冷えの原因になります。

冷えの4タイプ

冷えの症状は、大きく4つのタイプに分類できます。

 

・四肢末端型

手足が冷えるタイプ。
ストレスや栄養不足などが原因であることが多く、若い女性に多く見られます。
 

・下半身型

腰から下が冷えるタイプ。
運動不足や姿勢の悪さのほか、長時間のデスクワークも原因になります。
 

・全身型

体全体が冷えているタイプで、筋肉量が少ないことがおもな原因。
慢性的に冷えているため、冷えを自覚できていないケースが多いのもやっかいな点です。
 

・内蔵型

内蔵が冷えているタイプで、手足の冷えはないため、全身型と同じく自覚しにくいという特徴があります。
おもな原因は、ストレスや生活リズムの乱れです。

冷えと女性ホルモンの関係

冷えの予防・改善はすべての女性に意識してほしい課題ですが、特に妊娠を希望している方は、その必要性を理解し、実践することを強くおすすめします。

女性ホルモンのバランスの乱れが自律神経の正常な働きを阻害し、結果的に冷えを招く可能性があることには触れましたが、以下のように「冷えが女性ホルモンのバランスに悪影響を与えるケース」もあるためです。
 

何らかの原因で体が冷える

交感神経が優位になる(自律神経のバランスが乱れる)

自律神経を司る視床下部は女性ホルモンの分泌もコントロールしているため、ホルモンバランスも乱れる

 
女性ホルモンの乱れは、月経周期の異常や排卵障害などの原因になり、妊娠確率にも関係します。
また、冷えによって全身の血流が悪化すると、子宮動脈の血流も悪くなり、内膜が厚くなりにくくなる可能性があります。
子宮内膜が十分に厚くならなければ、着床率の低下も懸念されるでしょう。
実際に、不妊治療中の女性とそれ以外の女性を比べた場合、前者のほうが冷えを自覚している人が多いという調査結果も出ています。

今日から実践できる冷え対策

冷えは、毎日の生活を少し工夫することで対策できます。
以下を参考に食事や運動といった生活習慣を見直し、できることから取り組んでください。

 

・体を温める食材、筋肉をつくるたんぱく質が豊富な食材を摂る

体を温める食材:しょうが、にんにく、ねぎ、ごぼう、やまいも、れんこん など
たんぱく質を多く含む食材:鶏肉、豚や牛の赤身肉、しらす、卵、納豆、豆腐 など

なお、カフェインには体を冷やす作用があるため、冷えが気になるときはできるだけ避けることをおすすめします。
 

・入浴習慣をつける

シャワーだけでなく湯船に浸かる習慣をつけ、毎日体をしっかりと温めましょう。
 

・運動習慣をつける

ウォーキングをはじめとした有酸素運動を積極的に行うのがおすすめ。
運動習慣がない方は、まずは20分以上を目安に取り組んでください。
 

・十分な睡眠時間を確保する

しっかりと睡眠をとり、またできるだけ同じ時間に起床・就寝すると、自律神経のバランスが乱れるのを防げます。
 

・環境に合わせた服装を選ぶ

防寒対策は入念に。
マフラーや手袋、膝かけなどのアイテムも活用して、特に冷えやすい部分をカバーしましょう。

 
なお、冷えがなかなか改善しない場合は、対策としてビタミン剤や漢方薬(桂枝茯苓丸 、加味逍遙散 、人参養栄湯 など)を服用する選択肢もあります。
つらい症状がある場合は、医療機関の受診を検討してください。

冷えにまつわるよくあるQ&A

Q 冷えに悩んだときは何科を受診したらいいの?

女性の場合、基本的には婦人科を受診しましょう。

自身では気づいていない冷えによる月経、妊娠への影響を指摘してもらえることもあります。

Q 「冷えのサイン」にはどのようなものがある?

冷えの程度やその人の体質によりますが、疲労感や頭痛、肩こり、食欲不振、イライラなどの不調が出ることがあります。

「長く悩まされている不調が、実は冷えからくるものだった」というケースは珍しくありません。

《 監修 》

  • 叶谷 愛弓(かなたに あゆみ)産婦人科医

    レディースクリニックなみなみ 院長/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
    こども病院や総合周産期センター、大学病院など複数の病院での勤務を経て、レディースクリニックなみなみの院長に就任。女性が自身の体調や人生の「なみ」を受け入れるためのサポートを行う、「女性の味方」になるクリニックを目指している。
     
     
    HP:https://naminamicl.jp/
     

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