2022.05.06
吐き気・嘔吐(おうと)は、有害な物質を食べたり飲んだりしてしまった時に起こる症状で、乗り物酔いでも起こります。
他にも、様々な病気(例えば胃腸の病気、感染症、脳の病気、メンタルの不調など)の症状として現れます。
別の病気を治療している時の薬の副作用で起こることもあります。
いずれも、脳にある「嘔吐センサー」が刺激されて反射的に起こります。
子どもの吐き気・嘔吐の主な原因は感染性胃腸炎(いわゆる「おなかの風邪」/胃腸炎についての詳細は▶こちらから)です1)。
その場合、嘔吐は有害な物質(ウイルスなど)を体外に追い出す必要がありますし、自然に治まることが多いので1)、吐き気止めの出番は極めて限られます。
一方で、嘔吐とともに水分が失われ、体に必要な水分が足りなくなる恐れがあります。
経口補水液などを利用して、無理せず少しずつ水分を補ってあげましょう
(内服用電解質剤詳細は▶こちらから)。
慢性の胃腸の病気などで長引く吐き気の場合、その原因となる病気の治療が行われ、吐き気・嘔吐の重症度などを踏まえて吐き気止めの使用が検討されます。
この記事では、子どもに使われる主な吐き気止め(注射を除く)を紹介します(2022年1月時点)。
薬を使い始めて何か気がかりなことがあれば、医師、薬剤師に相談しましょう。
消化器の疾患、周期性嘔吐症(しゅうきせいおうとしょう)、乳幼児下痢症
など
嘔気や嘔吐は食べ物や水分が胃から十二指腸に流れにくいことが原因なので、胃から十二指腸に流れやすくする薬を使用します。
ドンペリドンやプリンペランは上記の作用があります。
周期性嘔吐症は規則正しく、いつも同じ症状で経過することが多いです。
片頭痛に似た病気なので根本治療は困難ですが、予防薬や発作時の症状を軽減する薬があります。
発作時にはアタラックスP散※を使うと症状が軽減することがあります。
ナウゼリン(ドンペリドン)
プリンペラン(塩酸メトクロプラミド)
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。
小児科専門医、小児神経専門医。