RSウイルス 感染症(あーるえすういるすかんせんしょう)【医師監修】

2021.10.21

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熱の子ども

RSウイルス 感染症(あーるえすういるすかんせんしょう)

目次

1.  RSウイルス感染症とはこんな病気

2.  RSウイルス感染症の原因と症状

3.  RSウイルス感染症の検査でわかること

4.  RSウイルス感染症の治療法と薬

5.  RSウイルス感染症のホームケアと予防

1. RSウイルス感染症とはこんな病気

発症年齢:0歳~
どんな症状:軽い風邪のような症状から重い肺炎までさまざま
症状があらわれる体の部位:呼吸器 〔軽症では上気道(発熱、鼻水)~重症では下気道(細気管支炎、肺炎)〕

 

RSウイルス の感染によって起こる呼吸器の病気です患者さんの75%以上は1歳以下で)2歳までにほぼ100%の子どもが1回はこの病気にかかります。流行時期は秋から冬にかけてといわれていましたが、日本では2011年から季節に関係なくかかるようになってきました。

 

RSウイルス感染は世界中でみられ、0歳から高齢になるまで生涯に何度でも感染を繰り返しますが2)6カ月齢以下の乳幼児では細気管支炎をきたし重症化します3)

 

 

乳幼児では、肺炎の原因の50%、細気管支炎の原因の50~90%はRSウイルスによるものといわれていて4)、早産、慢性肺疾患、先天性の心臓病、免疫不全がある乳幼児では重症化します。年長児でも気管支炎の1030%はRSウイルスが関連しているといわれています4,5)。なお、障害児、高齢者、呼吸器や循環器に基礎疾患のある成人も重症化しやすいといわれています5)。ヒチメタニューモウイルスもRSウイルスに症状が似ているため、症状だけでは区別ができません。

2. RSウイルス感染症の原因と症状

病原体は、RSウイルス(respiratory syncytial virus)です。

RSウイルスは家族同士の濃厚接触で感染することが多いといわれています。

家族内にRSウイルスを持ち込むのは、軽い風邪のような症状がある小学生ぐらいの子どもであることが多いといわれています4)

 

つまり、小学生ぐらいの年長児になると症状が軽くRSウイルス感染症と気付かれないまま通学してしまうため、学校内で感染が広がり、そこで感染した子どもがRSウイルスを家庭内に持ち込んでしまうことがあります。

 

 

感染経路は、患者さんの咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染(ひまつかんせん)が主ですが、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染もあります1) (図1)

 

 

 

 

症状は、初めて感染したときに重くなるといわれています)。RSウイルス感染症の潜伏期間は、35日です。通常は、発病すると鼻水が2~3日続いた後、急にゼイゼイ(喘鳴)したり呼吸が苦しそうになったりして、咳も出てきます(図2)。

 

 

熱は、発病から2日目で38℃以上と最も高くなり、3~4日目ごろから徐々に下がってきます症状は発病から57日で峠を越えますが、咳がおさまるまで23週間かかります6)。合併症に中耳炎があります。男児が女児より重症例が多いとされています。症状が治まった後も1~2週間します。

 

なお、感染した人が体外にウイルスを排出する期間は、感染後38日とされていますので5)、熱が下がって元気で、ゼイゼイ(喘鳴)などがなく、食事が取れていれば、幼稚園や保育園への登園は可能といわれていますが6)、登園前には主治医の先生に相談しましょう。

3. RSウイルス感染症の検査でわかること

RSウイルス感染症は症状から疑い、RSウイルス迅速検査キットによって診断します。この検査は、1歳未満のお子さんでは健康保険が使えますが、2歳児以上では健康保険が使えません5)

4. RSウイルス感染症の治療法と薬

現在のところ、RSウイルス感染症の治療薬はなくワクチンもありません。そのため、症状を和らげる対症療法が治療の中心になります)。また、ほとんどの場合は外来で治療ができますが、哺乳できない場合や、酸素の取り込みが難しい場合には入院が必要になります。そのため、病状の見極めが大切になります6)

 

なお、早産児や慢性呼吸器病があって重症化のリスクの高い乳幼児には、重症化の予防のためパリビズマブという薬が使われることがありますが、使用は主治医の先生の判断によります)

5. RSウイルス感染症の予防とホームケア

予防は、咳エチケットと手洗いが有効です)。特に、成人や年長児はRSウイルス感染症にかかっても、症状が軽く済むので、かかったと気付かないまま接触し、重症化しやすい0歳児や1歳児に感染させる危険があります。乳児が重症化するのは気管支が細いためです。

 

そこで、咳などの症状がある成人や年長児はできるだけ0歳児や1歳児に接触しないことも大切で、マスクも予防につながります2)

接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒薬で消毒し、せっけん・流水による手洗いやアルコール消毒薬による手指消毒を行います(図32)

 

 

ホームケアとして、鼻がつまって苦しそうな時には鼻水を吸ってあげる、部屋が乾燥しないよう加湿する、母乳やミルクが飲みにくそうにしているときは、1回の量を少なくして何回かに分けて飲ませる、などを心がけてみましょう6)

 

また、以下のような様子がみられたら、もう一度診察を受けましょう6)

(1) 胸やおなかをぺこぺこさせて息をしている

(2) 顔色がわるい

(3) 母乳やミルクの飲みがわるい

 

 

『参考資料』

1)  東京都感染症情報センター: RSウイルス感染症 2021年7月21日更新. ( 2021年7月21日閲覧:リンク)
2)   厚生労働省:RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日).  (2021年7月21日閲覧:リンク)
3)   勝沼俊雄: RS(respiratory syncytial)ウイルス感染症. 耳鼻展望. 2008; 51(5): 314-316.
4)   谷口清州: RSウイルス感染症. 感染症週報. 2004; 6(22):10-14.
5)   竹内正人: RSV感染症:最近の話題. 小児耳鼻. 2013; 34(1): 1-4.
6)   日本外来小児科学会(編著): RSウイルス感染症. 子どもの病気ホームケアガイド 第5版. 医歯薬出版. p35, 2020.

 

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。

    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。

    小児科専門医、小児神経専門医。

     

     

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