『子どもの あざ は自然に消える?』青あざ、赤あざ、茶あざ、黒あざ症状や治療法【医師監修】

2023.05.24

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あざとは?【監修】松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

目次

1.  あざ、母斑 はこんな病気

2.  あざ、母斑 の原因と症状

3.  あざ、母斑 の検査でわかること

4.  あざ、母斑 の治療法と薬

5.  あざ、母斑 のホームケアと予防

1.  あざ、母斑 はこんな病気

あざは、皮膚の腫瘍(しゅよう)の一種で、医学的には母斑(ぼはん)と呼ばれ、色の違いで、青あざ、茶あざ、赤あざ、黒あざなどと呼ばれています

1,2,3)
その色の種類によって特徴や治療方法も異なります(図1)4)

また、命にかかわるあざは多くないのですが、あざに限らず皮膚の病気は目に見えるため、悩みの原因になり、特にあざが顔などの目立つ場所に出ると深刻な精神的苦痛を感じることになります2)

 

図1:色の違いによるあざの種類

〇子どもにみられる主なあざの種類は?

主なあざは以下の通りです1,2,3) 。(表1、表2)
青あざ:蒙古斑(もうこはん)、異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)、太田母斑(おおたぼはん)、伊藤母斑(いとうぼはん)、青色母斑(せいしょくぼはん)
茶あざ:カフェオレ斑(かふぇおれはん)、扁平母斑(へんぺいぼはん)、ベッカー母斑(遅発性扁平母斑)
赤あざ:乳児血管腫(いちご状血管腫:図2)、単純性血管腫(ポートワイン母斑:図3)、サーモンパッチ、海綿状血管腫(かいめんじょうけっかんしゅ)、血管芽細胞腫(けっかんがさいぼうしゅ)、先天性血管腫(せんてんせいけっかんしゅ)
黒あざ:色素性母斑(ほくろ)

 
表1:あざの色による分類(その1:青あざと茶あざ)

 
表2:あざの色による種類(その2:赤あざと黒あざ)

 

図2:乳児血管腫(いちご状血管腫)の特徴

 
図3:単純性血管腫(ポートワイン母斑)の特徴

2.  あざ、母斑 の原因と症状

皮膚は、その表面から順に表皮、真皮、皮下脂肪組織の3層からできていますが、表皮の最下層にはメラニン色素を作るメラノサイトという細胞があります。
このメラノサイトが作るメラニンが多いと皮膚の色が黒くなり、少ないと白くなります。
通常、メラノサイトは表皮に存在し、真皮には存在しないのですが、なんらかの原因で真皮にメラノサイトがあると、メラニンのため皮膚が青く見えます。
青・茶・黒のあざは、メラニンが増加している状態で、メラニンが皮膚の深い部分にあるほど青く見え、浅い部分にあると茶色く見えます2)
一方、赤あざは、血管の異常で血管が拡張したり増殖したりすることによってできます。
赤血球に含まれるヘモグロビン(赤い色素)のために皮膚表面に近い血管が赤く見えます。
医学的にはあざ(母斑)とは原因が異なるため血管腫(けっかんしゅ)と呼ばれています2)
あざの種類別の特徴や症状については、表1、表2をご覧ください1,2,3)

3.  あざ、母斑 の検査でわかること

青あざ、黒あざ、茶あざは、目で見て(視診)診断できることがほとんどですが、あざの一部を採取して詳しく調べる(生検)こともあります1)
赤あざの一種のいちご状血管腫が目に見える場合は視診で診断できますが、皮膚の深い部分にできると、青く見えるため、正確に診断するために超音波やMRIで検査を行います。
また、生検を行い他の病気との鑑別を行います1)

4.  あざ、母斑 の治療法と薬

《青あざの治療》

おしりから背中にかけてできた蒙古斑は自然に消えることがほとんどで、数年で大部分が消失します。他の青あざは完全に消えることはありません2)
消えない青あざを治療する場合には、レーザー治療が行われます。
通常、レーザーで治療を数カ月おきに行うと、一時的に色が濃くなることがありますが(炎症後色素沈着)、3~4カ月で自然に薄くなって消えます。
適切なレーザー治療を数カ月行うと、太田母斑は目立たなくなります。
他の青あざもレーザー治療が有効ですが、皮膚の深い部分にある真皮にできたメラノサイトにはレーザーが届きにくいため、ある程度は薄くなっても完全には消えないこともあります2)

 

《茶あざの治療》

治療はレーザー治療が使われますが、いったん薄くなってもまた現れることが多く、治癒するのは5人に1人程度といわれています。
一般に成人よりも小児の方がレーザー治療の効果は高いといわれています1,2)

 

《黒あざの治療》

見た目に問題がある場合は外科的に切除します。
ホクロは、以前は外科的に切除していましたが、最近は傷跡の残りにくいレーザー治療が行われることが多くなっています1)

 

《赤あざの治療》

いちご状血管腫は自然に消えるため、原則として治療を行うことは多くないのですが、血管腫の部位や大きさによってはステロイドやプロプラノロールの内服薬を用いることがあります1)
他の血管腫に対してはレーザー治療が行われます。
しかし、レーザー治療が無効な赤あざもあり、このような赤あざでは手術的な切除を行うことになります1,2)

あざの治療は大きさや種類により様々な選択肢があります。一部の治療には保険適用の範囲で治療が行えますが、保険適用外の治療もあります。詳しくは、形成外科や皮膚科などの医師に相談をしてみましょう。4)

5.  あざ、母斑 のホームケアと予防3)

①レーザー治療後は、レーザーを当てた部分が軽いやけどの状態であり、痛みがあるため安静にし、治療部分を冷やして痛みを和らげます。
② もし水ぶくれができてしまった場合には、病院で診察を受けるようにします。
③ 治療した当日のお風呂は湯船につからないようにします。
④ 治療の前後には日焼けに注意し、日焼け止めなどを塗ります。

『参考資料』

1) 大嶋勇成, 宮地良樹(編).:I 母斑(アザ). こどもの皮膚のみかた 初版. 診断と治療社. pp220-240, 2019.
2) 日本皮膚科学会.:アザとホクロ. 皮膚科Q&A.
(2023年2月17日閲覧:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa21/index.html
3) 日本医科大学武蔵小杉病院形成外科.:血管腫(あかあざ)のやさしい解説.
(2023年2月17日閲覧:https://www.nms.ac.jp/kosugi-h/section/plastic-surgery/guide_copy_2_copy_2.html
4) 日本形成外科学会.:母斑. (2023年2月17日閲覧:https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/hifu/bohan.html#:~:text=%E6%AF%8D%E6%96%91%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E7%9A%AE%E8%86%9A,%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%8C%E3%81%82%E3%81%96%E3%80%8D%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。

    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。

    小児科専門医、小児神経専門医。

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