2020.03.02
射精した精液の中に精子が1個も見当たらないことを「無精子症」といいます。
また、精子の数が基準より少ないことを「乏精子症」といいます。
無精子症には2種類あります。
一つは、精子が作られているものの精子を運ぶルートに問題がある「閉塞性無精子症」です。
もう一つは、なんらかの理由で精子が作られていない「非閉塞性無精子症」です。
精子が作られている可能性が高い閉塞性無精子症の場合は TESEによって精子が得られる可能性が高くなります。
非閉塞性無精子症の場合は、MD-TESEを行うと少数の精子が見つかることがありますが、精子が1個も見つからないこともあります。
精子を回収できた場合には、一般的には凍結保存をしておくことができます。
凍結した精子は採卵によって得られた卵子に対して顕微授精を行うことで、妊娠を目指すことができます。
[TESEの手順]
精巣組織を取り出すことは同じですが、手術用顕微鏡で精子が存在しそうな場所を見定めて組織を取り出します。
精細管とは精巣の中にある多数の細い管で、この中で精子が作られています。通常はどの管でも精子が作られますが、無精子症や精子の数が極端に少ない場合は、精子が存在する精細管とそうでない精細管があります。
MD-TESEでは、精子が存在しそうな太い精細管を見極め、組織を採取します。
特にMD-TESEは、手術用顕微鏡で行われるため、その設備が必要であり、技術を有した医師がいることも必須です。
また、精子を回収することができた場合、精子の凍結(または受精卵の凍結)や顕微授精が必要になります。
こうした点から、大学病院のリプロダクションセンターや不妊治療専門クリニックなどで行われることが多い治療です。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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