2021.03.26
妊娠を希望しているカップルの中には、普段の生活を見直し、妊娠しやすい身体作りを目指している人も多いでしょう。
毎日の食事を意識するだけで、妊娠しやすい体質になる可能性は高くなります。
また、紹介するこれらの栄養素を十分吸収できる元気な腸を作るために、発酵食品や食物繊維も積極的に取ることをお勧めします。
1.亜鉛
亜鉛は別名、セックスミネラルといわれていて、男性ホルモンや精子の生成を促進し、運動率を上げてくれます。動物実験によると、亜鉛が少ないと精巣(睾丸)の精細管が萎縮してしまい、精子を作りにくくなることが分かっています。また、精液中の亜鉛濃度が低下することで、精子の運動性が弱まります。新陳代謝や性機能をサポートするといわれている亜鉛は、男性の精子を作る上で欠かせないミネラルであり、細胞の新陳代謝にも関与しています。男性は亜鉛が不足しないように、気をつけることが大切です。亜鉛は、カキ、豚レバー、牛肉などの他に、玄米、豆類、海藻にも多く含まれます。
2.ビタミンD
ビタミンDは精子の運動性を高め、精子の細胞内へのカルシウム吸収を促すことで精子の受精能力の獲得に関与しています。食品では、魚類(かつお・まぐろ・あんこう、鮭)、キノコ(きくらげ・しいたけ)などに豊富です。また、ビタミンDは紫外線を浴びることにより体内で合成されます。週に2回、5~30分は日光を浴びることが推奨されています。
1.葉酸
葉酸はビタミンB群に含まれ、妊娠初期に積極的に摂取することで、無脳症や二分脊椎などの胎児神経管閉鎖障害の発症を予防します。赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げるためには、妊娠を希望する段階から摂取しておくことが大切です。厚生労働省によると、妊婦や妊娠を望む女性には、毎日葉酸を摂取することを勧めています。また、葉酸は水溶性で、水に溶けやすく熱に弱いという性質があります。日ごろから意識的に摂取しないとすぐに不足してしまいますので、注意が必要です。ブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。
2.ビタミンE
ビタミンEには血流を良くし、生殖機能の働きを強化する働きがあります。ビタミンEの別名はトコフェロールといい、ギリシャ語で「子どもを産む」という言葉に由来します。ビタミンEがホルモンバランスを整えることで、血液循環や生理周期を改善し、子宮や卵巣の老化を防ぐ効果があるといわれています。このため、「子宝ビタミン」とも呼ばれています。緑黄色野菜、キングサーモンやカボチャ、アーモンドやピーナッツなどのナッツ類に多く含まれています。
未来の命を守り、健康に生き、命をつなぐための大切な栄養素。これらの栄養も意識して、十分摂取するように心がけましょう。
[参考文献・サイト]
・厚生労働省:平成29年国民健康・栄養調査
・健やか親子21(第2次)
・NHK 精子力クライシス
・国立健康・栄養研究所
・LUVTELLI BABY BOOK,THE FIRST EDITION.
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
星薬科大学非常勤講師。助産師(アドバンス)・保健師。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
▶HP https://maieutics.co.jp/