不妊治療では、どんな場合が 高額療養費制度 の対象になる?【FP監修】(2022年6月更新)

2022.06.13

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妊娠希望中のお金

高額療養費制度とは?

高額療養費制度」は、医療費負担の軽減を図るために国が定めている制度です。

健康保険では、原則として3割の自己負担ですが、病気やけがで手術や入院をするなどして、高額な治療費になってしまうと、自己負担も高額になります。
その軽減策としてあるのが高額療養費制度です。
これは、1カ月に病院や薬局などで支払った医療費の自己負担額が一定の金額(上限額)を超えた場合に、上限を超えた額が後で払い戻される制度です。
1カ月とは、同一の月の1日から月末までとなります。また、1カ月の自己負担の上限額は、年齢や所得の状況により決められています。

いくら払い戻されるの?

1カ月の医療費の自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。

 

例として、69歳以下で年収約370万円〜約770万円の人の場合、1カ月の上限金額(世帯ごと)の計算は、以下のようになります。

80,100円+(医療費-267,000円)×1%

どんな医療費が高額療養費制度の対象になるの?

高額療養費制度の対象となるのは、保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額です。

69歳以下の場合、1カ所の医療機関において、その月の医療費の支払い額が2万1,000円以上のものに限られます。

同じ病院でも、医科と歯科、入院と外来は分けて計算されますが、2万1,000円以上のものを合算できます。

入院した場合の食事代や差額ベッド代、また先進医療にかかる費用等は高額療養費とは見なされず、高額療養費制度の対象にはなりません。

また、自己負担額は世帯で合算することができます。
例えば、69歳以下の人がそれぞれ1カ月に2万1,000円以上の医療費を支払った場合には、合算が可能です。
ただし、夫婦が別々の健康保険に加入している場合には合算することはできません。

不妊治療では、どんな場合が高額療養費制度の対象になるの?(2022年5月更新)

不妊治療をしている人の中には、医療費が高額になって大きな負担を感じている人も少なくありませんでした。
体外受精顕微授精は保険適用ではなく、高額療養費制度の対象ではなかったからです。

しかし、令和4(2022)年4月からは体外受精などの基本治療はすべて保険適用されることとなったため、高額療養費制度の対象となります。

 


 
高額療養費制度の対象になるのは、保険適用される「一般不妊治療」「生殖補助医療」などです。

同じ治療であっても、年齢制限・回数制限を超えた場合は保険適用とはならないため、高額療養費制度の対象ではありません。

保険診療の治療で1カ月に2万1,000円以上の治療費を払った分が対象になります。

同じ治療であっても月をまたいで行われた治療の費用は合算されません。

高額療養費の申請の方法は?

高額療養費の申請は、加入している公的医療保険(*)に、高額療養費の支給申請書を提出します。

郵送で受け付けている場合もあります。申請に際して、病院などの領収書の添付を求められる場合があります。

高額療養費を申請した場合、支給までには、受診した月から少なくとも3カ月程度かかります。

申請後に医療保険での審査があり、その審査は医療機関から医療保険へ提出する診療報酬の請求書(レセプト)の確定後となるため、一定の時間がかかります。

 

あらかじめ入院などが分かっていれば、入院する前に手続きをしておくことで立て替えをしなくてすむ方法があります。

限度額適用認定証、または限度額適用標準負担額減額認定証の交付を受けて、この認定証を医療機関に提示すれば、退院時には自己負担限度額までの金額を払うだけで「立て替え」をしなくてすみます。

また、高額療養費の申請は2年前までさかのぼって行うことができます。

*:健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部・市町村国保・後期高齢者医療制度・共済組合など。

 

 

なお、認定証取得のタイミングが月をまたいだ場合は、認定証が使えないことがあります。

全国健康保険協会:限度額適用認定証及び限度額適用・標準負担額減額認定証について

 

急な入院の場合などは認定証の取得が間に合わず、初月は自己負担額全額の支払いをせざるを得ないことがある、ということになります。

 

 

[参考リンク]

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ(PDF)

 

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《 監修 》

  • 菅原 直子(すがわら なおこ) ファイナンシャルプランナー

    子育て世帯にかかせないお金知識を自治体の講座などわかりやすく解説。学生向け奨学金講座や新聞・雑誌等に教育費に関するコメント・執筆も。「子どもにかけるお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」メンバー。

     

     

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