医療費控除 の方法は?「不妊治療中」はどこまでが対象になるの?【FP監修】(2022年6月更新)

2022.06.15

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医療費控除 とは?

医療費控除は、1年間に世帯で支払った医療費が10万円を越えた場合、確定申告で所得控除を受けることができる国の制度です。

 

対象の医療費は、病気やケガの治療、歯科の治療など、世帯内の1年間(1月1日から12月31日)の医療費の合計が対象です。
不妊治療でかかった治療費も医療費控除の対象になります。
医療費がどれだけかかったのか計算するためにも領収書は捨てたりせずに必ずとっておきましょう。
確定申告では領収書そのものの提出は不要ですが、5年間は保存しておかなくてはなりません。

どんなときに 医療費控除 を受けられるの?

実際に支払った医療費の合計額から助成金や保険金などで補填される金額を引いて、10万円以上であれば医療費控除を受けることができます。

医療費控除を受けるために確定申告をする人は納税している人(納税者)であることが条件です。
その理由は、確定申告をすることで戻ってくるのは医療費ではなく、納めすぎた税金だからです。
納税していない人が確定申告しても、戻してもらえる税金はありません。

 

医療費控除の金額は、以下の式で計算した金額になります(最高で200万円)。

医療費控除の金額の計算]

実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補填される金額(*1) - 10万円(*2)

*1:生命保険などの入院給付金や健康保険などで支給される高額療養費、不妊治療の助成金など。

*2:総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%の金額。

 

医療費控除で戻る金額を還付金といいます。還付金は、税金を納めている人の税率によって金額が変わります。10万円を越えた分の全額が戻るわけではありません。

 

ポイント


💡医療費控除を受けることで住民税が安くなります。

💡医療費控除を受けることにより所得金額が少なくなれば、所得税とともに住民税も安くなります。


どんな費用が 医療費控除 の対象になるの?

医療機関で受けた検査や治療に関する費用は医療費控除の対象になります。また、入院費用や食事代、治療上で必要な差額ベッド代が対象になります。
ただし、自分の都合で個室を希望した差額ベッド代は対象になりません。

 

また、健康診断や人間ドックなどの費用は原則、対象になりません。もしも検査で病気が見つかり、治療や入院が必要になった場合には、治療費とともに健康診断の費用も医療費控除の対象になります。

 

💡薬局で薬を買ったときにも、処方箋があれば対象になります。
💡また、医師の指示によって飲んだビタミン剤や漢方薬は医療費控除の対象です。
💡さらに、ドラッグストアなどで治療のための風邪薬や胃腸薬を購入した場合も対象になるので、明細の分かるレシートをとっておきましょう。

 

医療費控除の対象]

・医療機関での治療費
・医師から処方された薬代

・医師が必要とした治療のための費用

・通院先への交通費(公共交通機関のみ)

・風邪薬や胃腸薬などの医薬品の購入 など

 

申請には領収書が必要なので、必ず保管しておきましょう。
通院で利用した電車やバスなど公共交通機関の交通費の領収書は必要ありませんが、ノートなどに記録を残しておくと確定申告時に慌てずに済みます。

不妊治療で医療費に含まれるものは?

不妊治療の場合は、以下のような治療費が医療費控除の対象です。

・薬による治療など

タイミング法

人工授精

体外受精顕微授精(薬や採卵、凍結費用なども)
・手術

・通院先への交通費(公共交通機関のみ) など

 

ただし、不妊治療で各種の助成金の対象となったり生命保険の給付金などを受け取った場合は、その分を差し引いた金額が医療費控除の対象となります。

医療費控除 はどのように申請するの?

医療費控除を受けるためには、税務署で確定申告を行います。

 

まず、税務署で確定申告書の用紙をもらいます。申告書は国税庁のホームページでダウンロードもできます。

医療費や薬代などの領収書と、給与所得がある人は年末調整済みの源泉徴収票を用意します。
領収書がない電車代などの交通費は、日付と金額を書き出しておきます。

医療費の総額から控除額の計算をします。
医療費控除の明細書」を記入して控除額を計算するか、国税庁のホームページで「医療費集計フォーム」をダウンロードして計算し、その金額と必要事項を確定申告書に記入します。

 

申告は、申告書類を税務署に持っていくか、郵送、またはインターネットを利用したe-taxで行います。
税務署が申告書類を受け取り、内容を確認した後、還付金が指定された銀行口座に振り込まれます。
振り込みは、約1カ月後が目安です。

医療費控除 は夫と妻、どちらが申請してもいいの?

同じ世帯で、2人とも働いて税金を払っているのなら、どちらが申請してもかまいませんが、年収(所得)の高い人が申請した方が得といえます。

 

2人で働いていて、少ない方の所得が200万円以下の場合は、医療費からマイナスする金額が10万円ではなく所得の5%なので、受けられる控除が大きくなる場合があります。

不妊治療のために漢方薬を買った、マッサージや鍼灸を受けた場合は?

不妊治療のために購入した漢方薬については、それが「医薬品」であれば、その費用も医療費控除の対象になります。また、マッサージ指圧師や鍼師、柔道整復師による治療を受けたときも医療費控除の対象になります。しかし、医師の指示なく自分で買ったサプリメントなどは治療にあたらないので医療費控除の対象になりません。

医療費控除 とセルフメディケーション税制

医療費控除を受けるには、確定申告をしなければなりません。源泉徴収票や医療費の領収書などは、きちんと保存しておきましょう。

 

医療費控除の特例として、健康の保持増進や疾病の予防のために1万2,000円以上の対象医薬品を購入した場合に受けられる「セルフメディケーション税制」があります。これは医療費控除との選択制で、どちらを選べば有利なのかは国税庁の確定申告書等作成コーナーで確定申告書作成中に試算することができます。

 

 

[参考リンク]

国税庁ホームページ

国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除)

国税庁:確定申告書等作成コーナー

《 監修 》

  • 菅原 直子(すがわら なおこ) ファイナンシャルプランナー

    子育て世帯にかかせないお金知識を自治体の講座などわかりやすく解説。学生向け奨学金講座や新聞・雑誌等に教育費に関するコメント・執筆も。「子どもにかけるお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」メンバー。

     

     

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