不育症を起こす 内分泌異常 とは?甲状腺と糖尿病の症状について【医師監修】

2021.06.01

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不育症を起こす内分泌異常とは?【監修:洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医】

内分泌とは体の内側(血液)に放出される物質であるホルモンのことをいい、内分泌異常とはホルモン分泌の異常のことを意味しています。
流産や不育症の原因となる内分泌異常は「甲状腺」と「糖尿病」です。

 

以前は、プロラクチンという母乳を出すホルモンが不育症の検査に入っていましたが、現在では不育症の原因ではないといわれています。

また、排卵後の黄体から出る黄体ホルモンが不足する黄体機能不全も、不育症の原因であるという証明はできていないので、不育症の治療として黄体ホルモンを補充しても効果は得られません。

 

甲状腺機能異常の症状について

甲状腺は喉仏の下にあり、甲状腺ホルモンは体全体の新陳代謝を促進しています。

甲状腺ホルモンの分泌異常では、甲状腺ホルモンの分泌が多すぎる甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)、分泌が少なすぎる甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)があり、こうした状態が妊娠や流産に影響している場合があります。

 

🔍甲状腺ホルモンの検査(甲状腺機能検査)は、甲状腺ホルモン(FT3、FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を調べます。

甲状腺刺激ホルモンは高いのに甲状腺ホルモンが正常にとどまっている場合、潜在性甲状腺機能低下症といいます。

潜在性甲状腺機能低下症でも流産の原因になることがあるので、TSHの一般的な上限は4.9(μIU/ml)ですが、妊娠を希望する場合は2.5(μIU/ml)以下にすることが勧められています。

糖尿病の症状について

妊娠初期の血糖値が高い糖尿病の人は、流産率が高いことが分かっています。

また、胎児の奇形を引き起こすこともあるので、妊娠前から血糖値をコントロールし、計画的に妊娠することが大切です。

血糖値がコントロールされている場合、決して流産率は高くありません。

 

また、妊娠中は血糖コントロールを厳重に行う必要があります。内服薬は妊娠中使用できないため、インスリンの自己注射が必要になることもあります。

《 監修 》

  • 洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医

    聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。

    不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。

    HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院

     

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