2024.09.24
子どもの成長にとって学校行事への参加は大切な役割があります。
ですが、修学旅行や合宿など、家庭でも学校内でもない場所へ食物アレルギーを持つ子どもを送るのは不安ですよね。
事前確認をしっかりすることで、「参加させない」ではなく「いってらっしゃい」と子どもを見送ってあげることができ、子どもも友達との大事な時間を楽しめる機会が増えます。
例えば修学旅行に行く時、移動中や旅行先での食事でどのくらい除去対応できるのか確認します。
また、移動中にアレルギー症状が出た場合の対応も事前に確認しておくとよいです。
特に最近は修学旅行で飛行機に乗る機会も増えてきました。
搭乗の間は症状が出た時にすぐ救急車を呼ぶということは難しいですよね。
その場合、どういった対応をするのかは確認しておいた方がいいでしょう。
アレルギーへの対応を家庭と学校間で備えておくことも大事です。
1.症状があった時に使う薬について
2.病院の受診が必要なレベルの症状になった場合に受診できる手段があるかどうか
を確認し、学校側ともすり合わせておきましょう。
学校や幼・保育園に食物アレルギー緊急時対応マニュアルがあれば、それに基づいて判断します。
緊急時対応マニュアルは東京都が作成している「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」がおすすめです。
学校や幼・保育園に緊急時対応マニュアルがあることを確認しておくとよいでしょう。
急にアレルギー反応が出ると本人も周りも焦りがちですが、これも事前の十分な確認と本人へ認識させることで、対応しやすくなります。
じんましんに限定した症状の場合、抗ヒスタミン薬(内服薬)を持っている時は、まずはそれを飲みます。
結果、思ったより軽い症状の場合でも飲み薬の場合は用法量であれば問題ないので、まずは薬を飲ませることが重要になります。
アナフィラキシーの経験があり、エピペンを所持している場合は、食物アレルギー緊急時対応マニュアルに沿ってエピペンを使用するかどうかの判断をすることになります。
エピペンを使用する場合でも、救急車の要請もセットで行うようにします。
食物アレルギー緊急時対応マニュアルにある「緊急性の判断と対応」の「緊急性が高いアレルギー症状」の項目に1つでもあてはまる場合には、迷わずにエピペンを打つようにしましょう。
(注意1)
エピペンは自己注射薬ですが、子どもの場合は周りの大人が打つ場面が多いです。
注射薬の使用法はあらかじめ確認しておきます。
針があるものですので、取り扱いには注意が必要で、できればトレーニングしておくとよいです。
マニュアルに載っている手順を守って注射をします。
子どもに打つ場合は子どもが動かないように体を押さえておく大人も必要です。
(注意2)
症状がある時に、無理に子どもを移動させるなどすると、症状が悪化することがあります。
その場で安静を保ちましょう。
安静を保つ体位も「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」にのっています。
食物アレルギー緊急時対応マニュアルの「緊急性の判断と対応」には皮膚の反応が入っていません。食物アレルギーではじんましんが起こる場合が多いのですが、症状がじんましんだけの場合は内服薬を飲ませて安静にして経過をこまめに観察しましょう。
緊急対応という面では日本より難しく、万が一の場合、どこまでの対応が現地でできるのかを日本以上にしっかりと確認しておかなければなりません。
中高生が海外旅行するときに、自分の食物アレルギーを伝えられるように、英語で伝える方法を紹介した冊子などで練習しておくこともよいです。
「食物アレルギーサポートブック」は相模原病院の海老澤元宏先生が総合監修しています。
独立行政法人国立病院機構相模原病院は日本のアレルギー疾患医療の中心拠点ですので、ぜひご活用ください。
《 監修 》
高増 哲也(たかます てつや) アレルギー専門医
神奈川県立こども医療センター 地域保健推進部長、アレルギー科医長、アレルギーセンター副センター長、栄養サポートチーム座長などを兼務し、特にこどものアレルギーの専門医として活躍中。
アレルギー児サマーキャンプを主催し、医療スタッフやボランティア学生と一緒に、アレルギーを気にせず思いきりのびのび生活し、楽しみながらたくさんのことを学べる機会を提供しています。
■アレルギー児サマーキャンプ【https://allergycamp.com/】
■神奈川県立こども医療センター 栄養サポートチーム【https://kcmc-nst.com/nst/】
取材協力:リリナグ株式会社