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育む8つの視点眠育

人はなぜ眠らなければならないのか

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「眠る」「睡眠」はだれもが体験することですが、つまりどういう状態のこと?と改めて聞かれたら、あなたなら何と答えますか。

 

ほとんどの方は「う~ん、夜、身体を休めるってことかな」と答えるでしょう。でも「身体を休めるってどういうこと」とさらに深く聞かれると、「成長ホルモンが出て疲れが取れて…」など、なかなかはっきりとは説明できないのではないでしょうか。

 

睡眠とは、意識水準や外的刺激への反応が一時的に低下する生理現象で、生存に欠かせない役割を持つものです。睡眠のメカニズムをレム睡眠、ノンレム睡眠などに分類して詳しく解明されるようになったのは脳科学が進歩した20世紀以降です。つまり「睡眠」は比較的新しい研究分野ですから、私たちが知らないことがたくさんあっても不思議ではありません。

 

私たちが1日8時間眠っているとすれば、1日の1/3の時間を睡眠に充てていることになります。つまり人生の1/3は眠って過ごしていることになります。それならば、人生の1/3を占める「睡眠」についてもう少し詳しく知っておくのも悪くないでしょう。

睡眠は人間の根源的な欲求の一つ

人間には様々な生理的欲求がありますが、「睡眠欲」は、ほぼ抗うことが不可能な欲求です。ですから、いくら授業中や勤務中など寝てはいけないシーンでも、強い眠気を抑え続けることは難しくなります。

睡眠が適切に管理できていない時に起こる「マイクロスリープ」と呼ばれるものがあります。これは5秒前後のちょっとした短時間に眠ってしまい、注意が途切れてしまう現象です。人間の生物としての身体は睡眠を必要としていますから、脳は割り込むようにして睡眠を挟み込むと考えられています。これがマイクロスリープだと考えられています。

高速運転中などに意識が途切れたら深刻な大事故につながりかねません。実際、マイクロスリープが原因と考えられる自動車事故も起こっています。マイクロスリープは身体が出す「もう働けません」というサインですから、仮眠を取ることが大切です。

 

 では、私たちの身体はなぜこれほどまでに睡眠を必要とするのでしょうか。

睡眠中に私たちは心身の休息を取りますが、 同時に身体の修復、記憶の再構成、肌の新陳代謝などの身体活動を行っています。

睡眠中の身体活動としてよく知られているのが「疲労回復」と「身体の成長」です。この2つに加えて、最近では「免疫機能の強化」も睡眠中の活動としてよく知られるようになりました。睡眠不足が続くと風邪を引きやすくなることを実感されている方も多いでしょう。

「老廃物の処理」も睡眠中に身体が行う大切な仕事です。睡眠には脳が排出した老廃物を洗い流す作用があり、認知症の発症と大きな関係があることがここ数年で明らかになっています。

また、睡眠中に「記憶の整理と固定」が行われることもよく知られるようになっています。一昔前は努力の証として称賛されていた徹夜学習は、記憶定着の観点からいえば効果がないということになります。

さらに睡眠不足で不安や抑うつなどの症状が生まれやすくなることが分かっており、私たちの心の健康にも大きく関わっていることが分かってきています。

 いかがでしょうか。このように、「睡眠」は休息でもあり、身体を修復したり成長させるための身体活動の一部でもあります。睡眠は私たちにとってなくてはならない重要な時間なのです。

 

監修者: 一般社団法人 日本眠育普及協会 代表 橋爪あき